ソニーグループ傘下のメモリ / ストレージ事業 Nextorage株式会社が、ヒートシンクを搭載するPCI Express 4.0対応のSSD「NEM-PA」シリーズの開発を発表した。
価格はオープンプライスで、PS5による対応システムソフトウェアアップデート後、順次発売するとのこと。
PlayStation 5で使用することを想定した高速SSDで、ヒートシンクを装着済み。高い放熱効果により安定した高速動作を実現するとしている。同社ではPS5 パブリックベータ版ファームウェア(Beta 3.0-04.00.00)で動作確認を行ない、最大リード速度6,500MB/s超を確認したとしている。
PCでも使えて、シーケンシャルリード 7,300MB/s、ライト 6,900MB/sを実現しているとのこと(Ryzen 9 3950X、MSI MEG X570 ACEマザーボード、Windows 10 Professionalといった環境でテストを行ったようだ)。容量は2,000GBと1,000GBの2種類。
大手5社に集中するNANDフラッシュメモリ
最近というか、TLCあたりからのNANDフラッシュメモリ製品はコントローラがメモリベンダーによって提供されたもの以外に変更する余地がなく、サードパーティベンダが製品改良の手を加える余地というものがあまりない。
DRAMはもうちょっと事情が違うのだが、NANDフラッシュメモリの方はベンダーも内製志向が強く、僕自身フラッシュメモリ製品を購入するときはサムスン、WDC/サンディスク、マイクロン、キオクシア、Hynix以外から購入することもなくなり、酷薄な言い方になるが、サードパーティの事業者ってもう必要ないんじゃないかなぐらいに思っている。(産業用途で使われるようなSLC/MLCコントローラを搭載した高耐久製品はまた事情が違う。)
TranscendがTwitterで自社製品とSanDiskの製品、どちらが良いかを聞かれてSanDiskと答えたことでぶっちゃけすぎだとバズったなんてこともあったが、(答えづらい質問だったと思うが)正直に答えるとそうなるというのが現実である。
サンディスクですね @kokonoe_df トランセンドとサンディスク、どっちがいいのよ
— トランセンドジャパン (@Transcend_Japan) July 11, 2012
サードパーティの未来はゲーミングにありか
そういう大手5社一極集中な潮流の中で、まだサードパーティ事業者も成長戦略を描けそうだと個人的に思っているのがゲーミング用の超高速ストレージだ。
PS5はもちろん、XBOXとWindows(11)もDirect Storageによる超高速ストレージ需要があり、ゲーミング製品は付加価値も高く比較的利益率も高い傾向がある。製品として技術的な区別をつけられなくても、カラフルに光っているだけで買ってくれるユーザー層もある。これはちょっとよくわからない。
また、超高速ストレージを実現する上でボトルネックとなる発熱をカバーする放熱素材や技術はまだサードパーティ事業者にも改良の余地があり、自社独自の付加価値を実現させやすい。
Nextorageはソニーグループ傘下ということもあり、ソニー純正という付加価値もある。これまでもソニーは家庭用ゲーム機やイメージング向けメモリ製品で極めて高い利益率を実現するエコシステムを構築していたが、今後も個別の製品の仕様に適合する純正製品を提供することで、優良事業として成長させることが出来る見込みは高いと見ている。
ちなみに、ヒートシンク非搭載のPCIe 4.0 SSDは既に発売している。
参考・関連リンク
PlayStation®5で使える* PCIe®4.0 M.2 2280ヒートシンク一体型SSD 商品化のお知らせ – Nextorage
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