2021年9月28日、シャープがAndroid スマートフォンの新製品AQUOS sense6とAQUOS zero6の2機種を発表した。いずれも2021年の秋冬モデルとして順次発売され、価格は未定。
シリーズ初の有機EL(OLED)ディスプレイ、AQUOS sense6
今更言うまでもないことかもしれないが、AQUOS senseシリーズは2017年に初代が発売されてから、国内のAndroid スマートフォンマーケットでは最も人気のあるシリーズとなっている。
正直に個人的な評価を言えば、初代sense発売当初はドコモwith需要に乗っただけの「安いだけ」の端末だったと思っていたが、sense3辺りからはIGZO液晶とその省エネ性能に電池の大容量化も平行し、必要十分なパフォーマンスとタフな電池持ち、シャープらしいディスプレイ品質を提供する優秀なミドルクラスとなっている。
sense6ではついに、液晶(LCD)から有機EL(OLED)へと転換し、自社製IGZO OLEDディスプレイを採用している。「液晶のシャープ」もついにミドルクラス、ベーシックモデルでまで有機ELを使うようになるんだなあと思うと感慨もひとしおだ。
有機ELは必ずしも液晶の上位互換ではなく、とくに白ピークの低さという欠点が屋外で使われることも多いスマートフォンでは厳しかったが、IGZO OLEDはピーク輝度1,300nit(バーチャルHDR利用時)と屋外での視認性も(長期間の利用で劣化していった場合は別だが)問題になることはないだろう。
iPhone 13の自称、スーパーキラキラカラフルクッキリディスプレイが800nit、13 Pro/Pro Maxで1000nit(HDR利用時1200nit)であることを考えればこれは実際、ハイエンドに匹敵し、凌駕するディスプレイ性能だ。もちろんピーク輝度以外にもディスプレイの性能指標は色々あるが、素人目で比較した時もっともわかりやすいのはディスプレイの明るさだ。
(フラッグシップのAQUOS R6で使われているPro IGZO OLEDの2000nitは現時点では世界最高だ!)
スペック
SoCは、AQUOS sense5Gと同じSnapsdragon 690 5G。6GB RAM/128GB ストレージ(UFS2.2)と4GB RAM/64GB ストレージの2モデル展開。プリインストールOSはAndroid 11。バッテリ容量は4,570mAh。IP68等級の防水・防塵、耐衝撃(MIL規格)仕様。
Snapdragonファミリはミドルクラス向け600番台の追加が690 5Gを最後になく、今年のAQUOS senseはどうするんだろうと思っていたが690 5Gで継続となった。Zero6では750Gが採用されるが、これはあまり数の出回っていないSoCなのでボリュームゾーンのsenseシリーズでの採用は出来なかったんだろう。
薄型軽量のAQUOS zero6
AQUOS zero5G Basicの後継機という位置付けらしいAQUOS zero6。シャープでは、軽量さと高性能を両立したハイエンド機のもうひとつの姿“ネオハイエンド”とか言っているが、SoC自体はSnapdragon 750Gでミドルハイクラスだ。
120Hzの倍速駆動に対応するほか、240Hz相当の残像低減機能付き倍速駆動に対応する有機ELディスプレイを採用しているが、どうもZero6の方ではIGZOの公称が見当たらない。sense4 plusとかもそうだったが、おそらく社外品のディスプレイを使用しているのだろう。
ボディの素材としてマグネシウム合金を採用し、146gの軽量さを実現している。最近はマグネシウム合金を採用するノートパソコンとかも時々発売されていて、実際めちゃくちゃ軽いのだが、お値段の方は全然軽くない。こいつも、持ってる人を羨ましく眺める憎らしいやつになりそうだ。
スペック
SoCはSnapdragon 750G 5G。RAM 8GB/128GB ストレージ(UFS2.2)。プリインストールOSはAndroid 11。バッテリ容量は4,010mAh。IP68等級の防水・防塵仕様。
流石に耐衝撃仕様がない他、バッテリはsense6より若干小さい。薄型軽量モデルは最近ちょいちょい他社からも発売されていて、シャオミのMi 11 Lite 5GとかASUSのZenFone8とかが強力なライバルになるだろうか。
Snapdragon 750Gは型番ではSnapdragon 765および765Gより下だが、CPUの世代が新しくなっていて馬力で勝り、GPU(3D性能)で劣っている。ディスプレイのリフレッシュレートが120Hz、タッチサンプリングレートが240Hzと高いので3D表示をバリバリに使うゲーミング用途以外ではサクサク軽快に使えると思う。
通信事業者での取り扱い
9/29現時点ではドコモがAQUOS sense6を、auがsense6およびzero6を、ソフトバンクはzeo6の取り扱いを公表している。ドコモ版sense6ではeSIM対応が省略されることが発表されていることに注意が必要だ。
対応周波数が各社のモデルで異なる点にも注意が必要だ。au版zero6はミリ波(n257)に非対応なようだ。4Gの対応周波数も各社のモデルで異なる。SIMロック解除は可能だが、他社のネットワークを利用する事業者に持ち出す場合は通信が不安定になる可能性がある。
余談
いくつかのサイトでsense6にヘッドホンジャックが搭載されるという記載を見かけた。色々画像を見て回ったが、ヘッドホンジャックが映っているものがなく、公式の商品紹介ページにある本体上面を映した画像にヘッドホンジャックの存在が確認できないので、sense6のほうにはヘッドホンジャックは搭載されていないのではないだろうか?
その後、いくつかプロモーション画像が追加されて、ヘッドホンジャックは本体下部に移動になっているのを確認しました。
参考・関連リンク
AQUOS公式サイト シャープのスマホ・携帯電話 最新機種を紹介
5G対応スマートフォン「AQUOS sense6」を商品化|ニュースリリース:シャープ
5G対応スマートフォン「AQUOS zero6」を商品化|ニュースリリース:シャープ
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