元々Android 15 QPR1 Beta 2で報告されていたことだが、2024年12月のセキュリティアップデート/Feature DropでついにStableのGoogle Pixelでもバッテリー充電の「80%止め」が出来るようになった。Pixel 8aとPixel Tabletの実機で確認している。
AppleがiOS 18で実装し、OEMがいたわり充電(SONY)とかインテリジェントチャージ(SHARP)などと呼称する独自の機能と基本的には同様の充電制御技術となる。リチウムイオン二次電池(とくにスマートフォンで一般に採用される三元系バッテリー)はフル充電状態での長期保管がバッテリーの摩耗に悪影響を与える特性があるため、意図的に満充電を避けるために提供される機能だ。
これまでもPixelにはアダプティブ充電という、システムがアラームの設定やユーザーの行動パターンを把握して自動的に充電を80%で静止し、使用の直前に満充電状態にしてくれる機能は提供されていたが、より能動的にユーザーがバッテリの充電を制限しやすくなるかたちだ。
有効にする方法
設定→バッテリー→充電の最適化→(無効になっていれば)充電の最適化を使用するのトグルスイッチをオン→充電の上限:80%を選択
アダプティブ充電もそうだが、これはGoogle Pixelのプロプライエタリであり、将来的にAOSPやGMSにフィードバックされ他社製品でもほぼ同様の機能が実装される可能性が高いもののAndroid 15以降のAndroid デバイスすべてに適用される変更ではない。
挙動
80%以上まで充電されている状態で同機能を有効にし、アダプタに接続しても基盤へのダイレクト給電はまったく行われず、充電率が80%になるまで放電する。80%まで到達すると基盤へのダイレクト給電を開始し、あとはバッテリからの放電は極力行わずに80%で静止するよう稼働するようだ。クライアントOS側からの制御で機能しているようで、電源がオフになると機能を有効にしていても100%まで満充電される。
80%以外の充電率に固定することは出来ず、一部のデバイスで採用されているような画面点灯時、つまりはゲームプレイ中などに過熱しないよう消灯中だけ充電するような高度な制御は提供されない。一部のOEMのそれより簡素な実装で、本格的な制御機能を欲するパワーユーザーには物足りないかもしれない。それでも、無いよりは良い。
Google Pixel Tabletをスピーカーホルダーに接続した場合の「90%止め」機能はバッテリーステータスを「過熱」状態に偽装して通知することで、過熱防止のために充電を停止する機能を逆用して充電制御を行っていたようだが、この80%止めではそのような制御方式ではないようだ。京セラ端末などで見られる、バッテリ容量そのものを偽装し80%を100%として通知することでシステムそのものの表示が狂うタイプの充電制御も存在するが、これも実装方式が異なるようで普通に80%を80%として通知してくれる。
推定容量の再調整(キャリブレーション)のため、定期的に100%満充電を行うとしており、おそらくはシャープ製端末などと同様、一ヶ月に一度程度で満充電にしてくるのだろう。Androidのバッテリープロファイルは基本的に100%満充電時にリフレッシュされるので、時々は満充電したほうがよいものだ。
もっともっとバッテリーを大切にしたいなら
今どきのバッテリは大容量かつ高品質になっており、よほどヘビーに使い倒さない限り早々摩耗することはないものだが、それでもずっと使いたい・なるべく摩耗を避ける方法はないのかと思う人もいるだろう。
そういう場合は、80%まで放電したあとは持ち歩くとき以外ずっとアダプタに挿しっぱなしで使用したほうが放電による摩耗が発生しないので、基本的に劣化がゆるやかになる。保管温度は低いほうが望ましいので、放熱しやすい環境は意識したほうがよい。極端な低温環境、その中での急速な充電も析出の原因となりうるので望ましくはない。人間にとって心地よい温湿度環境を維持していれば問題はないだろうが、車中に放置したりするのは絶対にやめておきたいところ。
俺は絶対バッテリーを大切に使ってみせるぜ!という気合の入った人は低電流モードに対応するモバイルバッテリーなどを活用して電源を取り続けることも出来なくはない。そこまでしなくてもいいとは思うが…。
あまり放電しないのもキャリブレーションがバカになって充電率の表示がおかしくなる(本当にバッテリ自体が劣化しているわけではなく、システムの推定充電率が狂うだけ)ので、ときどき10%以下程度まで放電してから満充電を行うとよい。この点については、AccuBatteryなどの充電管理アプリの開発者も推奨しているし、まずGoogle自身がAndroidのヘルプで公開していることだ。もっとも、あまり神経質になる必要はなく、何かおかしいなと思ったらキャリブレーションを試みるくらいの態度のほうが精神衛生上はよいかもしれない。
参考/関連リンク
Charge your Pixel phone - Pixel Phone Help
Get the most life from your Android device's battery - Android Help
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