割と最近登場したもので、Android 5.0以降の対応デバイスにサイレントでインストールされているお支払い用 Google Play 開発者サービス。ときどきこれは何なのか、ウイルスではないかと不安に思われている方がいるよう。
そもそもGoogle Play 開発者サービスとは
Google Play 開発者サービスとは、ほとんどのAndroidデバイスに出荷段階でプリインストールされているGoogleが独自に提供するプログラム(APIパッケージ)のことです。基本的にバックグラウンドサービスとして常時機能しています。
インストールした覚えもないのにバッテリーを大量に消費しているように管理画面で表示されたり、サービスが停止した表示が出て困った…なんて人がけっこういると思います。
Google Play 開発者サービスは、アプリ(の開発者)がGoogle マップや通知、広告配信などのGoogle自身が提供するサービスや機能をかんたんに利用できるようにする仕組み(API)を提供しているものです。Google謹製のアプリや、関連機能を使うアプリ、マンガアプリの広告配信やゲームなどのたくさんのアプリで動作のために必須となるプログラムです。無効にしてしまうとアプリが正常に動作しなくなる可能性があります。
ある意味でAndroidをGoogleのAndroid足らしめるプログラムのひとつであり、オープンソースなAndroidそのものと違ってプロプライエタリ(クローズドソース)な存在です。AmazonのFire HDシリーズやファーウェイのHarmony OSのようなAndroid互換・クローンOSにはライセンスされていないため、開発者サービスを利用しているアプリはそのままでは完全動作しないことになります。(同様のAPIパッケージをAmazonやファーウェイが用意していてかんたんに移植できるようにしていたり、プリインストールされていないデバイスにも手動でインストールする抜け道もありますが。)
お支払い用 Google Play 開発者サービスとは
お支払い用 Google Play 開発者サービスも、まあ名前の通りの存在です。Play ストア上ではお支払い用 Google Play 開発者サービスの名称が使われていますが、デバイスのアプリ一覧だとGoogle Play services for paymentsとなっているはずです。
おサイフケータイやNFCのタッチ決済などの電子決済サービス、支払い方法をGoogle アカウントに保管して自動入力したりするのに必要となるAPIの更新を、Play ストア経由で配信するためのプログラムです。無効にしたり、更新を停止してしまうとやはりアプリや電子決済が正常に動作しなくなる可能性があります。
今までこんなもの無かったのになんでアプリにしたんだ、勝手にアプリをインストールするのはやめてほしいと思う人もいると思います。新規のアプリとして分離したのは現在、AndroidアプリのシステムモジュールのインストールパッケージがAPKという古いフォーマットから新しいAndroid Pony EXpress(APEX)というフォーマットに切り替えていく途中であること、メンテナンス性やパフォーマンス向上のためと考えられます。
Androidは端末のメーカーが完全なアップデートを提供するのが長くても3年とか、4年で終わってしまうものがほとんどです。Google Play 開発者サービスは、メーカーがアップデートを投げ出した古いデバイスや販売規模が小さいデバイスにもGoogleが直接アップデートを配信できるので、システムの老朽化によるアプリのサポート停止や脆弱性、不具合が放置されるリスクを低減することが出来ます。
そんなわけで、わざわざシステムの深い部分の更新をPlay ストア経由で直接配信するためにアプリという目に見える形式になっています。Googleは最近、より直接的にユーザーにアップデートを配信できるように、システムモジュールをアプリ形式に分離してきています。今後も知らないアプリが勝手に増える可能性が高いですが、配信元を確認してGoogleだった場合はむかっ腹が立っても無効にしたり、自動更新を停止するのはやめておきましょう。
参考・関連リンク
Overview of Google Play services | Google Developers