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液晶(LCD)と有機EL(OLED)、どっちがいいの?

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7月の頭ごろだったか、任天堂がディスプレイを大型化、有機EL化したSwitchの新モデルを発表した。その後、一部報道で新モデルで収益性が大きく向上するという報道があり、任天堂がわざわざその報道を否定するような広報を出したりしていた。

有機ELは液晶より高性能という一言で片付けられがちだが、必ずしも液晶の上位互換となる製品ではない。得意なこと・不得意なことが当然あり、製品の選択にはある程度知識があったほうがいい。

有機ELのメリット・デメリット

有機ELは漆黒(リアルブラック)を再現出来ることから、黒の締まりがよくメリハリの効いた色表現が出来、応答性が高く同じリフレッシュレートでも液晶と比べてなめらかな描画が可能だ。

リアルブラックを再現出来るディスプレイは有機ELの登場以前、プラズマディスプレイパネルがあったのだが、これは普及することがなく消えていってしまったし、忘れてしまっていい。

一方で、有機ELは白ピークが低い、つまり明るさの上限が低くなる。とくに太陽光下で有機ELと液晶を比較した場合視認性が大きく下がる場合がある。

最近の液晶はバックライトに高輝度のLEDを使用していて、自発光の有機ELと比べてかなり明るく色彩を表現することが出来る。その一方で、黒が白く浮くためにリアルブラックの表現は出来ず、再現性が低くなる傾向がある。

もっとも、有機ELも進化していてプレミアムラインの製品では1000nitとか1500nitとかの高輝度を謳う製品も出ていて(HDR再生時限定的に発揮されるものだったりするが)、直近だとAQUOS R6がアウトドア環境での使用に耐える2000nitの高輝度を実現していると公称している。

ピーク輝度の低さという問題は改善しつつあるのだが、今の所目ん玉飛び出る価格の最新・フラッグシップな製品の話であって、普及価格帯のスマートフォンとか、ポータブルゲーム機とかにはまだ関係のない話だ。

製品を売る側としては有機ELに置き換えが進んだほうが都合が良い

有機ELパネルの製造コストは加速度的に低減しつつあり、その割にメーカーからすると価格を引き上げても文句を言われづらい、高付加価値な製品として売れている。

一方で、輝度落ちのスピードやムラといった点で液晶よりも製品としての寿命が短い。LEDバックライトを採用した液晶もまったく輝度落ちしない訳ではないが、現実的には人間が認識するのは難しいのに対して、2~3年使用した有機ELディスプレイを採用したスマートフォンを比較すれば一発で差が理解出来るはずだ。

また、有機ELは実のところ消費電力が高い。元々は有機ELが消費電力の面で優位とされていたのだが、現実にスマートフォンなどを実使用すると有機ELのほうが消費電力が大きくなる。

これはやはり輝度が低いからであり、もっと言えば液晶がバックライトにLEDを採用するようになって省電力の面で進化したからだが、消費電力が大きいことは売り手にとって実は都合が良い。リチウムイオン電池が充電を繰り返せば繰り返すほど劣化し、やはり買い替えを促進してくれる。

Switchの新モデルで任天堂の収益性が大きく向上する可能性は低い

Switchの新しい有機ELモデルの収益性が旧モデルより高いとする報道が一部から出たのは、製造原価と値上げ幅にギャップがあり、利ざやが大きくなったという試算が出たからだろう。

じゃあなんでわざわざ任天堂がそういった一部報道を否定したかというと、まだちょくちょく流通が間に合わなくなっているハードウェアを大きな利益を得るために価格を引き上げたというのは単純にイメージが悪いし(世の中の人間は基本的に自分以外の金持ちが嫌いだ)、そもそも利ざやの大きな製品がラインナップに増えたからといって全体としての収益性が改善されないからだろう。

より安価な液晶モデルを併売するからスケールメリットもそれほどではなく、むしろ組み立てや流通のコストは上昇している可能性が高い。今後の売れ行き次第で改善する可能性もあるが、少なくとも当面の間任天堂のハードウェア販売における収益性が高くなるということはないだろう。

で、どっち買えばいいのよ?

お子様に対してSwitchを買い与える、あるいは自分で購入する場合、判断基準は色々あるのだが、屋外で頻繁に使用するならば(公園とかで集まってゲーム機で遊んでるお子様はそれなりに見る)安価な液晶モデルを購入したほうが良いかもしれない。

テレビに接続しての使用がメインであるならば携帯モードで使用するディスプレイの大きさや美しさはどうでもいいのだし、やっぱり安価な液晶モデルで十分だろう。
わざわざ性能が変わらず高価になった有機ELモデルを購入するのだから携帯モードを頻繁に使う人が買うべきで、その場合は液晶と比べて美しく、滑らかな映像表示が楽しめるだろう。

参考・関連リンク

任天堂の新型スイッチ、部品コスト増加は1100円程度-市場の評価二分 - Bloomberg

任天堂株式会社(企業広報・IR) (@NintendoCoLtd) | Twitter

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