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完全ワイヤレスイヤホンのBluetooth Audio SoC

アイキャッチ

※本来ならばSoCではなくSiPと呼称すべき場合もありますが、めんどくさいのでややこしいのでSoCと一貫して呼称しています。

※本来ならばBluetooth AIoT SoCと呼称すべき製品もまとめてBluetooth Audio SoCと呼称しています。

完全ワイヤレスイヤホンは進化が目覚ましく、とても人気のあるガジェットジャンルのひとつだ。

完全ワイヤレスイヤホンを選ぶ基準と言ったら、ブランドや音質、価格、アクティブノイズキャンセリング(ANC)に対応するかが重視されがちだが、中間部分が無線なので通信がきちんと安定するかということも重要だ。

通信がきちんと安定するかどうかはメーカーによるアンテナ配置、筐体の作り込みといった要素もあるがBluetooth Audio SoCという電波を受信し、複合する回路も重要になる。

最近の完全ワイヤレスイヤホンで使われるBluetooth Audio SoCはデジタル信号をアナログに変換する機能(Digital Analog Converter…DAC)やアナログ音声を増幅するアンプとしての機能も1つのチップに統合されている。完全ワイヤレスイヤホンの中核となる機能を1つのパッケージで提供できるから、小型軽量化に有利でその分バッテリーも大容量にしやすいし、サードパーティのオーディオメーカーからすれば参入もしやすくなりBluetooth Audio SoCを外販するチップベンダーからすると顧客の拡大が期待できる。

この記事の目的

最近はかなり安価な製品でも傍受型左右同時伝送に対応し、実際には大手OEM/ODMパートナーが製造や検品を行っているために品質の点でそこまで悲惨なものは少なくなりました。

一方で、未だにQCC3020や3026を搭載した製品を「最新のQualcommチップセットを搭載しているから音切れに強い」とか「低遅延コーデックのaptXに対応しているから遅延が少ない」と言って無邪気に紹介する商品ページ、メディアやアフィリエイターを見かけることが全くなくなった訳ではありません。

パソコンやスマートフォンを紹介するときに搭載しているプロセッサ、通信仕様などの記載のない商品説明や紹介記事は信用できるでしょうか?4年前のプロセッサを搭載した製品を「最新製品」として売っている人間は?

この記事の目的はおすすめの製品を紹介することではなく、ユーザーの警戒とリテラシーの向上を呼びかけるものです。

(まぁ、搭載チップセットの詳細をなるべく明示しようとしない、隠そうとする、あるいは誇大広告を行う売り手は完全ワイヤレスイヤホン以外にも山程いて、3大キャリアのスマートフォンショップとか、モバイルの世界はひどいものですが…。)

リレー方式と近距離磁界誘導から左右同時伝送技術へ

古い完全ワイヤレスイヤホンはスマートフォンなどの送信側機器に対して片側のイヤホンを「マスター」として接続した後に、もう片方の「スレーブ」側イヤホンに音声データをリレー式に伝送していた。この方式は無線伝送区間が増える上に、電波を妨害する水分を大量に含む人体の頭部が必ず間に挟まることになるため、通信の品質で問題を抱えることがあった。

こういった問題は当初、補聴器などで使われる近距離磁界誘導(NFMIとかMiGLOと呼ばれる)という技術で磁気通信に置き換えることで回避する手法が試されたが、これは実装に技術的な困難が伴い、高い製品開発力を持つごく一部のメーカー以外は製品として実現することが出来なかった。

そこで提供されるようになったのが送信側機器に対して片側のイヤホンを「マスター」として接続した後に、「スレーブ」側イヤホンにマスターとは左右反対側の信号を傍受させる接続技術で、これを左右同時伝送と呼んでいる。これによって通信の遅延は低減され、安定性も向上が見込める。

傍受型左右同時伝送も送り手の性能を問う

Bluetoothバージョン4.2よりも前…つまり、Bluetooth4.0以前のバージョンのデバイスでは左右同時伝送が使用できません。(チップベンダによって実装は違うので使えるものもあるかもしれないが)

iPhoneで言うと、iPhone 6sからBluetoothバージョン4.2、つまりiPhone 6以前の端末がBluetooth4.0以前となります。もう使っている人はほとんどいないと思いますが、Windows 7からアップグレードされ続けてきた古いノートPCとか、無線LANカードを搭載していないデスクトップPCなどを自作、購入したあとにBluetooth周辺機器を使用したいということで安価なBluetoothアダプタを購入されると、Bluetoothバージョンが4.0で左右同時伝送が有効にならないことがあります。また、Bluetoothで使用されている2.4GHz帯周波数とUSB3.0で発生するノイズが干渉を起こしてまともに音楽再生が出来ない…なんてことも起こります。
自作・BTOでPCを調達する時点できちんとした無線LANカードを導入することを推奨しますけど(これも内部的にはUSBだったりするけど)、どうしてもそれが無理ならば超小型・安価なドングルではなく、多少お高くて大振りなBluetooth4.2以降に対応するオーディオトランスミッターを使用することをおすすめします。

Bluetooth4.0のBluetoothアダプタ(買ってはいけない)

Bluetooth4.2以降のBluetoothオーディオトランスミッター

「傍受」ということは、つまり盗み聞きをしている

Bluetoothでは送信側と受信側は相互登録(つまりペアリング)する必要があります。ペアリングを行ったときに暗号鍵が生成され、実際に通信するときはその暗号鍵を使い通信の内容を暗号化・秘匿しています。

ペアリング時に生成された暗号鍵を偽装出来れば通信内容を傍受できることになるので、傍受型の左右同時伝送はスレーブ側のイヤホンが通信の内容を盗み聞きするような形で実装されてると考えられます。

もちろん、盗み聞きしているといっても本当に通信の内容が他者から盗み聞きされる訳ではありません。

「マスター」と「スレーブ」は不適切言語として置き換えが進む可能性が高い

現状では各種ICチップベンダの資料などでもマスターとスレーブという言葉を使われていることが多いのでそのまま使用しているものの、この言葉は主人と奴隷の関係を想起させるとして使わないようにという呼びかけが行われている。

日本語圏ではぶっちゃけ気にされないだろうが、今後は使われなくなっていく可能性が高い。プライマリ/セカンダリとかメイン/セカンダリーとか、ホスト/クライアントみたいな呼び替えが提案されているが、現状では統一した呼称は存在しないようだ。

音質コーデックとは

ものすごく大雑把に抽象化して言うならばBluetooth Audioは「データのトンネル」を通って送り手から受け手へと伝送される。生の音声データをそのまま通そうとすると、データが大きすぎるせいでそのトンネルを抜けられなくなってしまうので、ダンボールにつめて小分けにしてデータを輸送する。

そのダンボールにつめて小分けにして送り付け、開封作業をするまでのマニュアルを「コーデック」と言う。マニュアルによって作業員の作業内容(アルゴリズム)と作業時間(遅延)と時間内にどれだけのデータ量を送り付けるのか(ビットレート)が変わる。ひとつのダンボールにまとめてつめて送り付けるのか、小さなダンボールに分割して梱包した順にとりあえず送り付けるのかで、開封する側の待機時間も変わってくる。

おおざっぱに区分けするならば必ず対応しなければいけないとされているSBC、事実上は標準コーデックとなっているAAC、AndroidやWindows(Windows10までは標準でSBCとaptXにしか対応していなかったが、Windows11からAACに対応する)向けのaptXがCD相当の音質で再生できるとされ、aptX HDとLDAC(とaptX Adaptive)がハイレゾ相当の音質で再生できるとされている。あまり有意な差は見られないが実機上での動作をモニタリングすると基本的にSBCの遅延が最も小さく、aptXが微差で遅延が大きいあるいは同等の遅延で、AACが最も遅延が大きく、その振れ幅も大きい傾向がある。

より低遅延のコーデックとしてaptX LLというものもあるのだが、これはスマートフォンやパソコンのWi-Fiで使われるアンテナを共有することが出来ず、専用送信機が必要になる上に、完全ワイヤレスイヤホン向けのBluetooth Audio SoCも通常対応していない。
左右のイヤホンが有線で繋がっているタイプのBluetoothイヤホンには低価格なものでも採用がある他にも、AQUOS サウンドパートナーAN-SS2のようなネックスピーカーでも採用されているようだ。また、プレミアムライン製品の一部でリレー式や左右同時伝送と同時に近距離磁界誘導も同時に実装することで、本来対応が難しいマルチポイント接続(複数台の同時待ち受け)やaptX LL対応を実現しているものもあるようだ。

現行のiPhoneが対応しているコーデックはAACが最上位なので、音源がハイレゾだったとしてもBluetooth伝送区間で必ず音質を劣化させられることになる。Androidは最終的に端末のベンダーによって実装するかどうか判断されるのだが、最近の端末なら基本的にaptX HDとLDACへのエンコーダが無償提供されているので、(イヤホンやヘッドホン次第で)ハイレゾ相当のBluetoothオーディオ再生が楽しめる。

「マルチペアリング」と「マルチポイント」の違い

マルチペアリングとは1台のBluetooth子機に複数のBluetooth親機とのペアリングを登録することが出来る機能のことです。マルチペアリング非対応のBluetoothイヤホンだと親側の機器をスマートフォンからパソコンに切り替えたい場合、ペアリングをやり直さなければなりませんが、マルチペアリング対応であればペアリングをやり直す必要がありません。

複数のBluetooth親機と同時に接続する機能はマルチポイントと言います。マルチポイント対応のBluetoothイヤホンならば、スマートフォンとパソコンに同時に接続して、どちらか好きなほうで音楽を再生したり、通話を受信することが出来ます。

マルチペアリング対応のBluetoohイヤホンは複数のペアリング情報を記録できるけれど、同時接続はできません。同時接続が必要な場合は、マルチポイント対応のBluetoothイヤホンを選ぶことになります。

通常、市場に流通している完全ワイヤレスイヤホンでマルチペアリングに非対応の製品は存在しないと思われます。逆に、マルチポイントに対応していると謳っている製品はJabraやHuaweiなどの一部のメーカー製品に限られ、少ないです。

なぜかというと、マルチポイントを実現するためには左右間の伝送を近距離磁界誘導に逃がすことで実装することが必要であったため、要求される技術ハードルが高かったためです。

マルチポイントに対応する製品

音楽再生の音質は基本的にiOSよりAndroidが有利

Android vs iOS

外付けのUSB-DAC(ヘッドホンアンプ)を使用する場合を別として、基本的にiOSとAndroidどちらが音楽再生の音質に優れているかというと、Androidのほうが有利です。
LightningケーブルとType-Cケーブルによる有線接続、Bluetoothによるワイヤレス接続のいずれの場合をとっても、です。

USB-DACを使用しない有線接続の場合、LightningとType-Cいずれの場合も、端子付近やケーブルの途中に用意されたDAC兼アンプを使い、デジタル信号をアナログに変換します。しかし、LightningはiPhoneの仕様により最大48kHz/24bitが上限。Androidの場合は制限がなく、DACチップ次第で192kHz/24bitなどより多いデータ量に対応できます。

Bluetooth オーディオ再生の場合、iPhoneはコーデックの違いに関わらず最大44.1kHz/16bitどまり。Androidは96kHz/24bit(LDAC)などそれ以上のデータサイズを扱えます。カジュアルに音楽を楽しむだけならあまり気にする必要はありませんが、最近はハイレゾオプションを提供する音楽サブスクもありますから、無駄なお金を払うことがないよう気を付ける必要があります。

ほとんどのオーディオメーカーは外販されている通信機器メーカー製Bluetooth Audio SoCを採用している

自社でチップセットから設計し、自社製品に最適化したBluetooth Audio SoCを搭載しているのは、言わずとしれたAppleがAirPodsやBeats製品に使用しているApple W1 / H1、米国による制裁措置の影響で最近は影が薄いファーウェイのKirin A1くらいだ。

一部のメーカー製品でオリジナルのBluetooth Audio SoCを搭載しているような記載がされる場合があるが、自社、あるいは他社のノイズキャンセリングプロセッサを統合した状態のチップセットに型番を振っているものであって、コア部分は他社製Bluetooth Audio SoCを採用しているはずだ。

Apple製品で使うなら素直にAirPods買えばいい(Apple W1/H1)

Apple Airpods

もちろん音質や着け心地とかの要素もあるので暴論ではあるのだが、もしもiPhoneやiPadなどのApple製品で使用する完全ワイヤレスイヤホンを購入するときに迷ったときは、とりあえずAirPodsシリーズから選んで買えばいい。左右同時伝送に対応するだけでなく、iPhoneで使用する場合の付加機能もあるし、使用可能な音質コーデックなどもApple製品をターゲットに提供されている。

もしもAirPodsを使って製品に不満を持つなら、今度はその不満を改善してくれる製品を探せばいいのだから、製品を選ぶ上での指標にもなる。

Apple W1/H1を採用する製品

QualcommのQCCシリーズは3020/3026世代と3040/3046が混在

SnapDragonチップセット

国内販売されているAndroidスマートフォンの大半で採用されているSnapdragonシリーズで知られるQualcommも完全ワイヤレスイヤホン向けのBluetooth Audio SoCを外販している。

QCC3020 / 3026は一世代前のエントリー / ミドルクラス向けBluetooth Audio SoCで、左右同時伝送技術に対応していない。TrueWireless Stereo Plus(TWS+)という左右完全分離伝送技術を採用しているのだが、これは親機側にチップセットレベルでの対応が必要な接続で、更に有償のオプションを有効にしないと同じチップセットを使用している端末でも提供されない、なので国内販売のスマートフォンで対応しているのはAQUOSやXperiaの比較的新しいフラッグシップモデルのみで、ごく一部の端末と接続した場合を除くとリレー式の伝送となる。

とは言え左右完全分離伝送には少なからぬ利点がある。従来型のリレー方式や送り手を問わない傍受型左右同時伝送においては1つの電波トンネルで2ch(つまりステレオの)信号を伝送しなければならなかったため、通信の安定性とビットレートを天秤にかけ、ギリギリのせめぎ合いを行なっている。しかし完全に分離した2つの電波トンネルでそれぞれ独立して1chずつデータを伝送すればいいので、接続が安定するだけでなくビットレートを向上させ音質を上げる余地も生まれる。

同じ世代でハイエンド製品向けのQCC512xシリーズというBluetooth Audio SoCもあるのだが、これも伝送技術に関しては同様である。コンテンツに合わせて聴感を損なわないギリギリの範囲でビットレートを自動的に上げ下げし、遅延が問題にならないオーディオ再生ではより高い音質を実現しつつ、ゲームのようなシビアなコンテンツでは遅延を低減して通信の安定化も図ったaptX Adaptiveという音質コーデックに対応していて、その点においては通信の安定性に優れる場合があるのだが、これも送り出し側・受け手側の双方が対応している必要がある。Android 9からエンコーダが提供されているはずなので基本的にモダンなAndroid端末であれば対応しているはずだが。

市場に出回っているQualcomm製Bluetooth Audio SoCとして最新世代のQCC3040 / 3046 / 5141は左右同時伝送技術TrueWireless Mirroringに対応している。また、前世代で上位モデルのみの対応だったaptX Adaptiveもすべてのモデルで「実装可能」になった。(あくまで可能なだけで実装していない製品もあるようだ。)

もしも完全ワイヤレスイヤホンを購入するために製品を探していて、その製品がaptXコーデックに対応しているならば、(QualcommはaptXコーデックを他社製完全ワイヤレスイヤホン向けSoCがサポートすることを認めていない)その製品はQualcommのBluetooth Audio SoCを搭載している。その場合、製品に搭載されているBluetooth Audio SoCをチェックしたほうがいい。接続する親機との相性も関わってくるが、古い世代の製品を搭載した製品は通信の安定性、遅延において劣る可能性は高い。

QCC3040を採用する製品

MediaTekグループの台湾AirohaはSONYやPanasonicなどの国内大手も採用、通信の安定性に定評がある(AB1552、AB1562、AB1568、MT2811など)

スマートフォンやタブレット向け低価格帯SoCで高いシェアを持つ、MediaTekのグループ企業であるAirohaは早期から左右同時伝送技術のMCSyncを提供し、音途切れの少ない完全ワイヤレスイヤホンを提供してきた。

すでに高い評価を受けているSONYのWF-1000XM3やTechnics(Panasonicのオーディオブランド)などがAirohaのBluetooth Audio SoCを採用している他、低価格帯の中華メーカー製品でも幅広く採用がある。WF-1000XMシリーズ最新機種であるWF-1000XM4もAirohaの最新のAB156xファミリを採用しているようだ。

Airoha SoCを採用する製品

台湾PixArt(の子会社Audiowise)も左右同時伝送技術をサポートし、いち早くゲームモードを提供(PAU1626)

PixArt(Audiowise)はGreenRadio Stereo(GRS)という左右同時伝送技術をサポートする。たぶん、ゲーミングデバイスのメーカーであるRazerの製品が初出だったと思うが、いち早く低遅延を売りにした「ゲームモード」を採用する完全ワイヤレスイヤホンを提供してきた。

この手の「ゲームモード」はQualcommのQCC3040などの他社SoCでもファームウェア更新などで提供が進んでいるようだが、基本的には無線区間を通過する際にデータを圧縮する時のビットレートを落とし、伝送するデータの量を根本的に削減することで遅延を減らしている他、音途切れを減らすためにかけているディレイを削減することで低遅延を実現していると考えられる。有効にすると音質が低下したり、通信環境の悪い場所で音途切れが発生しやすくなる可能性がある。

PAU1626を採用する製品

Samsung Galaxyは半導体大手Broadcomとパートナーシップ、独自の高音質コーデックも提供(bcm43015)

Samsung Galaxy

登記上の本社はシンガポールにある、半導体・エレクトロニクス大手BroadcomのBluetooth Audio SoCはSamsungのGalaxy Budsシリーズで採用されている。

比較的最近に発売されたSamsungのGalaxyスマートフォンではSamsung Scalableという独自の高音質コーデックを搭載していて、ビットレートやアルゴリズム遅延は非公開だがハイレゾ相当の高音質に対応するとしている他、ゲームモードなども提供しています。

bcm43015を採用する製品

もしもGalaxyシリーズのスマートフォンでしか音楽を聴かないのであればGalaxy Budsシリーズが鉄板になるでしょう。

中国・上海のBestechnicはGoogleのPixel Budsで採用(BES2300、BES2500)

中国・上海のBesTechnicは創業2015年と若い企業。左右同時伝送技術Low-band Bluetooth Retransmission Technology(LBRT)をサポートし、GoogleのPixel Budsの他にもJBLやオーディオテクニカなどの一部製品で採用が見られるようだ。(Google Fast Pairのサポートが早かった?)

BES2300を採用する製品

台湾Realtekはシャオミの激安完全ワイヤレスイヤホンのような「激安」製品以外ではほとんど見かけない(RTL8763など)

Realtek(カニー!)は超低価格帯の完全ワイヤレスイヤホン以外ではあまり採用を見なくなってしまった。XiaomiのMi完全ワイヤレスイヤホンBasic 2はプライムデーで1245円だった!

実機を手に取れる機会がなくて未確認なのだが、ダイソーの1000円完全ワイヤレスイヤホンも蟹のBluetooth Audio SoCを採用しているっぽい。

Realtek SoCを採用する製品

結局どれを買えばいいの?

最近は適当に製品を手にとってもほとんどは何らかの左右同時伝送技術に対応していて通信品質という点では基本的に安定しているものの、コンパニオンアプリの開発やオーディオのチューニングなどの製品開発が遅れてしまったメーカーが型遅れのSoCを積んだ製品を発売したり(この場合は良い音鳴らしたりするので悩ましい)、半導体不足のあおりを受けて安価でも性能が高い新しいSoCの調達が間に合っていない「負け組」企業が古いBluetooth Audio SoCを搭載した製品を型番だけ変えたり、コラボアイテムという形で新製品という体で売出しにかける様子も見受けられる。

一昔前のリレー方式+AACコーデックで接続していた製品では場合によっては0.8秒近くまで遅延が膨れ上がることもあった。だがQualcommのTW MirroringにaptX Adaptiveで接続して、ゲームモードまで提供するような製品は(親機側の性能やデバイスベンダーの実装、使用するアプリそのもののオーディオの実装手法、周囲の無線環境、Android OSのバージョンなど複雑に関係するので相当ばらつきはあるが)0.1秒くらいまで遅延を低減出来るようになってきている。音ゲーとかリアルタイム性の高いマルチ対戦ゲームとかはまだ厳しいだろうが、リアルタイム性が低かったり、シングルプレイのゲームで音ズレを意識せず完全ワイヤレスイヤホンを使いたいならTW MirroringとaptX Adaptiveに対応した製品を買えばいいと思う。(Android端末を使っているのなら)

Superpowered Mobile Audio Latency Test Appのようなレイテンシーテスト用アプリを使用して実測している。

音質に関してはなるべく実店舗で試聴して納得した上で製品を買いましょうと言うしかないのだが、オンラインで製品を購入することを検討しているのなら、客観的な情報は多いほうがいい。情報開示に消極的なオーディオメーカーも多いので調べるのは難しいが搭載しているBluetooth Audio SoCの情報もチェックすべきだし、オーディオメーカーやオーディオ系メディアもきちんと情報開示すべきだと思う。

Bluetooth Audioはまだまだ進化する

Bluetoothの次世代コアバージョンとなるBluetooth 5.2から採用が始まる(ということになっているがBluetooth5.2対応製品がそれなりに出回ってきた今も使われていない。)Bluetooth LE Audioやその標準コーデックとなるLC3も今後の投入が予告されており、音声通話の品質がVoLTE相当に向上するなどの進化が控えている。

完全ワイヤレスイヤホンはリチウムイオンバッテリで駆動する以上2~3年も使えば電池がヘタってくる。少なくとも当面の間は、あまり高い製品を購入しても数年後にはあっという間に型遅れになっている製品ジャンルで、継続して購入していくことを考えるとどれだけの予算を投入するのかは悩ましい問題だ。最近は1万円を切るような比較的安価な製品でもANCやヒアスルー機能を提供するものも増えているし、必ずしも2万円とか3万円を超えるようなプレミアム製品を買う必要はないかもしれない。

参考・関連リンク

Test iOS and Android Audio Latency with Superpowered Latency Test App

QCC30xx Series | Bluetooth Earbud and Headset Chipsets | Qualcomm

Overview | QCC5100 Series | Bluetooth 5.0 Chipset for Headsets and Speakers | Qualcomm

達發科技股份有限公司(Airoha Technology Corp.)

BroadcomのBluetooth Audio SoC BCM43015(公式)

恒玄科技(Bestechnic)—Leading Supplier of Smart Audio SoC

Bestechnic BES2300 Bluetooth 5.0 Audio Chip Basic Floorplan Analysis | TechInsights

https://www.realtek.com/en/products/communications-network-ics/item/rtl8763b

Bluetooth classic / Bluetooth low energy コンボチップ - Qualcomm - マクニカ

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