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Googleの完全ワイヤレス「Pixel Buds Pro」買ったよ。遅れてきたレガシーBluetoothオーディオのAndroid向けリファレンスモデルの実力

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Google Pixel Buds Pro

Googleの完全ワイヤレスイヤホン「Pixel Buds」シリーズ現行最上位機「Pixel Buds Pro」を購入した。カラーはコーラルを選んだ。元々はPixel 6aと同時発売のもので、発売から数ヶ月経過しているモデルなので流し気味にレビューしていく。

👍
GoogleのエコシステムはAndroid デバイス使いには快適
ノイズキャンセル&ノイズリダクションはかなり強力
バッテリー持ちも優秀
👎
やや「古い」仕様
明確に対応しているアクセサリーは少ない

Googleのカスタム設計オーディオチップ&ドライバー

カスタムビルドのオーディオチップ

Image : japan.googleblog.com

GoogleはPixel 6シリーズから、自社設計のシステムオンチップ(SoC)「Google Tensor」を搭載している。Pixel Buds Proにもカスタム設計によるオーディオチップが搭載され、ANC機能を制御する独自のアルゴリズムやドライバーの駆動を制御していると謳っている。このチップには6つのコアがあると説明されているが、その詳細な構成やOEMベンダーについては明言が避けられている。Tensorのようにブランドとしての名称も付けていない。

実際のところ、このチップはBluetooth通信を実現している基幹部分にはPixel Buds Pro以前のPixel Budsシリーズに採用されているBestechnicのチップを採用していると見られており、そこに自社設計のDACやアンプ、ノイズキャンセリングやノイズリダクションを実行する組み込み向けCPUコアを統合するオーディオチップをペアリングした構成になっていると思われる。

ドライバー

Image : store.google.com

ドライバーは完全ワイヤレスイヤホンとしては大きめの11mm口径ダイナミックドライバー。ハウジングは密閉型。こちらも当然自社での設計となる。

初回接続の案内

Googleの製品なので当然、Androidのエコシステムに組み込まれており、箱から取り出してバッテリーケースの蓋を開けるだけで接続のためのポップアップが表示される。その後は画面上の案内に従っていれば初期設定が完了する。

Pixel 6aと組み合わせて(コーデックはAAC)、イコライザーを弄らずに手持ちのCD音源の楽曲(だいたいゲームのサントラだ。)を聴いているが、完全ワイヤレスイヤホンとしては音場がそこそこ広く、空間再現にゆとりがある。細部を繊細に描き出すというより、厚みと密度、パワフルさを感じる。

ノイズキャンセリング&リダクションの消音効果はかなり強力

アクティブノイズキャンセリングの消音効果はかなり強力だ。AirPods ProやBoseのQuietComfortといった業界のリーダーたちと肩を並べる水準に到達していると感じる。

アクティブノイズキャンセリングや外音取り込みの強弱を調整する機能がないのでむしろ強すぎるアクティブノイズキャンセリングに違和感を覚える人もいるかもしれないと思うほどだ。

音声通話用のマイクにも強力なAIノイズリダクションが搭載されている。イヤホンの内外側に1基ずつマイクを載せ外側は環境音、内側でユーザーの通話音声を拾い、ミキシングしたサウンドを機械学習で生成したアルゴリズムを適用し、通話音声だけを抜き取る技術を搭載しているとのことだ。

この機能、どうもハンズフリー通話時は常時オンになっているようだ。通話機能はあまり試す機会がないので家族にちょっと協力してもらって換気扇の下で確認したが、ノイズはかなり強力にリダクションされている。ただ、ユーザーの音声の方もちょっとこもりぎみというか、フィルター通してるなという感じに聴こえた。

カタログ通りに優秀なバッテリー持ち

カタログのバッテリー持続時間はANCオンで最大7時間、ANCオフで最大11時間を謳っている。そんなに長時間連続で装着していられないのでわざわざバッテリー切れまで確認していないのだが、バッテリーの消耗速度はカタログ6時間や5時間の他機種より確かにゆるやかだ。

マルチポイント接続も手元のWindows 11端末と試したが、バッテリーの消耗はあまり大きくなっていないようだ。一部のメーカー(具体的にはJBL)の製品とか、ひどいものはマルチポイント接続を使用すると持続時間がほとんど半分になったりするものもあるがこの点も優秀と言える。

完全ワイヤレスイヤホンに限らずリチウムイオン電池は消耗品だが、その消耗のスピードはバッテリーの使用によるパーセンテージベースでの充電サイクル消費に大きく依存している。定価が2万越えの高級機種としては寿命が長めに使えそうなのは安心だ。

純正以外のイヤーピースを使用するのは難しいかも

イヤーピース

左がFinalのTYPE E 完全ワイヤレス仕様 LLサイズ、右がPixel Buds Proの純正品 Lサイズ

ノズル(ステム)径はかなり太く他社製品のイヤーピースは装着が難しいと思います。FinalのTYPE E 完全ワイヤレス仕様 (Amazon)に交換出来ないか試してみましたが、ちょっと装着できませんでした。適切なノイズキャンセリング性能を発揮するためにもイヤーピースは純正品を使うのをお勧めします。

僕の場合は初期装着のMサイズでは少し小さいかと思いLサイズを装着しているが、パッシブの遮音性がかなり高いせいか外音取り込みはやや弱めというか、遠く感じる。あと、耳奥まで押し込んだイヤーピースが取り外し時に気をつけないと耳の中に残ることがある。

一応、Googleストアに掲載されているのはPixel Buds A-Seriesのみですが、コンプライのTrue Grip ProがPixel Buds Proにも対応しているとカタログに掲載 (PDF)されています。

空間オーディオ対応のアップデートは2023年1月

アップデート完了のスクリーンショット

購入後、初回のアップデートは10分くらいかかった。発売当初は実装されていなかったEQに対応したようだ。

2022年の秋に対応するとアナウンスされていた「空間オーディオ」コンテンツ再生だが、2022年1月にアップデートが提供されることが公式ブログで明らかにされている。

Pixel 6、Pixel 6 Pro、Pixel 7、Pixel 7 Proでのみ利用可能とのこと。互換性のあるアプリとサポートされているコンテンツが必要。

(追記)日本時間2023年1月4日、Pixelスマートフォン向けの月例セキュリティアップデートがリリースされ、Pixel Buds Proの空間オーディオ機能が解放された。対象のPixelデバイスでPixel Buds アプリ内から設定を有効にする必要がある。(追記ここまで)

発売時期を考えればやや「古い」仕様は残念か

数年前のSoCが搭載されたPixel Watchなどもそうだが、Pixel Buds Proも開発には時間がかかったのだろう。Bluetoothのバージョンは5.0で、Android 13で対応されたLE Audioへの対応は出来ず、アップデートによる対応もないことがアナウンスされている。

最近のトレンドであるLDACのようなハイレゾ相当コーデックにも非対応で、カタログの仕様だけ見ればPixel Buds Proはやや古い。個人的にはハイレゾというもの自体に懐疑的な見方をしているので重要視していないが、2万円オーバーのフラッグシップならば対応して欲しいという声は当然あると思う。

タイミング的にも年末から年明けにかけてGalaxy スマートフォンやXiaomiあたりのフラッグシップからAndroid 13への対応が始まり、それに合わせてLE Audio対応の完全ワイヤレスイヤホンが発売されたり、既存の機種がアップデートで対応したりを始めることになるのではないだろうか。具体的には、JBL LIVE FREE 2 (Amazon)とか2022年内のアップデート予定が2023年に延期したソニーのLinkbuds S (Amazon)あたりがアップデートによるLE Audio対応を明言している。

とは言え、Androidのボリューム層であるエントリー〜ミドルクラスの機種は仮にAndroid 13にアップデート出来たとしてもLE Audioに対応出来る送信能力を持つ端末は少なく、当面の間は主流になることはない。オーディオ視聴の音質面でも新コーデックのLC3がAACを大きく上回るようなこともないので、今しばらくの間はPixel Buds Proで必要十分な性能要件は満たしているだろう。将来的に新しい高音質コーデックも用意されるようだが、当面の間LE Audioのメリットはレイテンシの軽減と通信の高品位化、これまでひどかったハンズフリー通信の高音質化がメインになると思われる。

フラッグシップモデルとしては比較的安めの価格設定であること、Googleのエコシステムの恩恵に預かることが出来るという点を考えれば(まだ)コストパフォーマンスは高いと思う。