一般の方がAndroid スマートフォンやNintendo Switchで使用する場合はSamsung Evo Plus [Amazom]かSanDisk Ultra [Amazon]をAmazon販売・発送のものや風見鶏などで購入しましょう。以上!
…これだけでは短すぎるので、もうちょっと丁寧に個別の製品に合わせたSDカードの選び方を書いていきます。
そもそも個別の製品で何が違う?
読み書きのスピードと書き込めるデータの容量が違うことはみんな知っていることだと思います。でも、それ以外の性能は違いがわからない人がほとんどですよね。
まず、メーカーや製品のグレードによってマイクロコントローラとそのファームウェアが異なります。ファームウェアとはデバイス(この場合はSDカードを)を動かすために内蔵されている制御ソフトウェアのことです。ファームウェアによって、ウェアレベリング、エラー発生時の修復機能、電源喪失時のデータ保護機能などが提供されます。
また、製品によって動作温度範囲が違います。フラッシュメモリは温度変化、とくに高温環境に長期間晒されることに弱いです。動作温度範囲(動作保証温度)が広い製品ではデータの保持性能が高く、耐久性も高くなります。
目的に応じて買うべきSDカードは変わる
そもそも、SDカードは写真や音声、動画のようなデータを記録することを主な目的に開発されたものです。その基本的な仕様も、大きなデータを連続的に書き込み、書き換えはあまりしない、記録したデータもパソコンのような母艦で管理し、長期的な保管は行わないという使い方に最適化されています。
Nintendo Switchでは最も重要なセーブデータは本体あるいはクラウドで管理され、何度でもダウンロードしなおせるゲームデータの一時的なインストール先として使われるために、仮にデータが破損したとしてもダメージは低いです。故に、読み出しと書き込みのスピードさえ一定程度高速であるならば他の要素はあまりこだわる必要はありません。ゲームデータの読み出しはシーケンシャルのスピードがものをいうので、アプリケーションパフォーマンスクラス(A1とかA2とか書いてあるやつ)も気にしなくてよいです。
デジカメやビデオカメラの撮影で使う場合も、高解像度の連写をするようなシーンで読み書きスピードが要求されるラインに到達していることが一番重要です。仕事にしろ、趣味にしろ、撮影で使う場合は撮ったら撮りっぱなしということはあまり考えにくく、長期保管したい場合はHDDや光ディスクなどにデータを移し替えると思います。
ドライブレコーダー(ドラレコ)の場合は、ドラレコ向けの高耐久製品がカー用品店などで販売されていると思います。ECサイトと比べて物凄く高いと思ってしまうかもしれませんが、夏場の車内はとても高温になり、フラッシュメモリの苦手な環境です。書き込みもとても頻繁に行われるので、要求される品質グレードがもっとも高い製品ジャンルです。きちんとドライブレコーダー向けのSDカードを購入し、3年とか5年とかのスパンで定期的に買い替えを行うことをお勧めします。
Android スマートフォンで使う場合、画像や音楽、動画などのコンテンツ保存のために使われるかたが多いと思われますが、SDカードは基本的にデータの一時保管先で、長期の保管には向かないことに注意が必要です。ほとんどの機種で取り外しにSIMトレイへのアクセスが必要となるため、撮影した写真やネット上でかき集めた画像を、やまほどSDカードに溜め込んでいる人がけっこういるのですが、母艦となるパソコンやNAS、クラウドストレージサービスなどに定期的にバックアップを保存されることをお勧めします。
microSDカードを内部ストレージとして扱えるスマートフォンもありますが、その場合はアプリケーションパフォーマンスクラスが重要となります。(ゲーム以外の)アプリは細切れの小さなデータを読み出すことが多いので、ランダム性能が必要になります。それだけでなく、内部ストレージ化したSDカードが破損すると連鎖的にすべてのデータが壊れることがあります。耐久性、エラー訂正機能の性能などのすべての指標が高水準である必要があります。SanDisk Extreme PRO [Amazon]のようなエラー訂正性能をアピールしているプログレード製品を購入されることをお勧めします。もっと言えば、然るべき販路から産業向けmicroSDを購入することをお勧めします。これはRaspberry PiなどでmicroSDをシステム領域に使用する場合も同様です。
保証年数はデータの保持期間を保証するものではない
SDカードは寿命製品です。書き込めば書き込んだだけ劣化し、最終的には書き込みが出来なくなります。劣化が進行している途中でも、少しづつデータは飛びやすくなり、フラグメントが発生して読み書きも徐々に低速化していきます。また、空き容量が少なくなることでも低速化し、残りの寿命もどんどん減っていくようになります。
通販サイトのレビュー欄で、「10年保証を謳っているのに数ヶ月で壊れた」とか「数年でデータが破損した」という怒り・嘆きの声を見かけますが、フラッシュメモリに書き込まれたデータの寿命としては別におかしいことではありません。壊れているのはおそらく書き込まれたデータそのもので、SDカード自体の機能は失われていない可能性が高いです。メーカー保証期間はSDカード自体の読み書き機能の保証であって、書き込まれたデータの保持期間を示したものではありません。
フラッシュメモリに書き込まれたデータがどれだけの期間、保持されるかは書き込み時の温度、書き換えの間隔、保管時の温度などで場合によっては二桁倍となる極端な差が発生します。
一般的に書き込み時の温度が高く、保管時の温度が低いと、データの保持期間が長くなります。逆に書き込み時の温度が低く、保管時に温度が上がると、場合によっては数週間ほどでデータが揮発してしまう可能性もあります。真夏・白昼の車内のような想定されうる最も劣悪な環境では半日の放置でも最悪の状況を生み出す可能性もあります。これはSDカードだけでなく、スマートフォンの組み込みフラッシュメモリやパソコンで使われるSSDでも同様です。
揮発してしまったデータはフラッシュメモリ上から消失して、タイムマシンがいつか作り出されるその瞬間まで失われます。メーカーに保証期間なんだから何とかしろと泣きついてもどうにもならないので、壊れるものは壊れるのだと最初からあきらめ、重要なデータはきちんと別の媒体にバックアップを取るようにしましょう。
参考・関連リンク
フラッシュメモリの仕組みに興味がある方に、学研の「フラッシュメモリのひみつ」というまんがをお勧めします。今ではキオクシアになってしまった東芝メモリの時代の古いまんがですが、わかりやすくまとめられた良い教育漫画だと思います。いや、ほんとです。
フラッシュメモリのひみつ | まんがひみつ文庫 | まんがでよくわかるシリーズ
失敗しないマイクロSDの選び方(SanDisk)
アプリケーションパフォーマンスクラス | SD Association
あわせて読みたい: