CLIPSTUDIO TABMATE 2を買いました。CLIP STUDIO PAINT使用者向けの片手デバイスで、これまでのモデルで非対応だったiPad/iPhoneに対応したのが目玉の製品となります。ただ、この記事を書いている人はPixel TabletとWindowsでCLIP STUDIO PAINTを使用していることをお断りしておきます。
発売前の段階でアプリ内からデバイスのペアリング処理を行う形式になったことは明らかにされていて、Windows向けのキーエミュレーション シェアウェア「JoyToKey」などのサードパーティアプリは使用できなくなったのでは、と噂になっていましたが実際に使用できなくなっていました。また、CLIP STUDIO PAINT Ver.3.0以降でないとペアリング処理自体が出来ないため、レガシーバージョンのCLIP STUDIO PAINTでは根本的に使用することが出来ないのを注意喚起しておきます。
ハードに目を向けるとホイールの操作性向上を公称しているが、何が違うのかよくわからない、というのが正直な個人的な感想です。外観上の違いも全くないように見受けられ、それほど長時間ではないですがアプリ上で実際に描画しながら操作しても違いを体感することはできませんでした。
ホイールについては不具合報告も多い箇所であるため何らかの設計変更が行われるかなと思っていたのですが、そういった様子もなさそう。スイッチだけ調達先が変わって耐久性が上がっている、とかはありえますが公式が謳っているのはあくまで操作性の向上なのであまり期待しないほうがよさげ。
せっかくBluetoothバージョンが向上しているのに電池残量が見られない
旧バージョンのTABMATEはBluetooth バージョン3.0なのでBluetooth Low Energy 4.0で追加された電池残量確認のためのプロファイル「Battery Service Profile」に対応していませんでした。*1
新しいTABMATE 2ではBluetooth Low Energy 5.1に刷新されたため、Battery Service Profileにも対応できるはずですが、CLIP STUDIO PAINT アプリ内からTABMATEの電池残量を確認する機能は用意されていないようです。当然、システムから電池残量を確認することも出来ません。
BLEに移行したことでバッテリーライフタイムは大幅に延長されているはずですが、肝心の残量が見られないストレスが解消していないのはどうかと思います。
価格は大幅に上がったが期待されることが出来ず、出来ないことは増えている
サードパーティアプリが使えない理由については、iPad OS対応のためであったり、XInputやDirectInputといった汎用APIの使用を避けCLIP STUDIO PAINTの新しいバージョンでないと使用できない形に切り替えていくことで、ハードとソフトの両面から新しいバージョンの購入やサブスクリプションへの移行を促していきたいといったことであったりと色々想像は出来るし納得できないものではない。
今までTABMATEが使えなかったたくさんのiPad ユーザーにとって公式対応は嬉しいものだろうし、iPad ユーザーを相手にもデバイスを売ることが出来るというのは営利企業として大きな意味合いを持つのは理解できるからだ。ただ、個人的にはこれは「TABMATE 2」ではなく「TABMATE for iPad」として併売されるべき製品だと思う。
価格もCLIP STUDIO ストアの優待販売価格が4,900円(税、送料込み)から9,900円(税、送料込み)と大幅に上がってしまっており、率直に言ってどうしてもiPadでTABMATEを使用したかった人以外には魅力に欠ける製品に思える。
とはいえ、「TABMATE 2」が世の中に出てしまった以上、古いモデルのTABMATEは順次終売ということになるだろうし、
・CLIP STUDIO PAINT以外でも左手デバイスとしてTABMATEを活用し続けたい人
・レガシーバージョンのCLIP STUDIO PAINTとTABMATEを併用し続けたい人
は早めに旧版在庫の確保に動かれることをお勧めしておく。
*1:一応、ヘッドセットなどでの通話時に使用されるHFP(ハンズフリープロファイル)対応デバイスではレガシー Bluetoothでも電池残量を確認することが実は出来ます。