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Google Pixel Tablet インプレッション・レビュー。待望のGoogle純正タブレットの実力は

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Google Pixel Tabletのパッケージ

Google Pixel Tabletを買いました。Google ストアで79,800円+紹介キャンペーンで頂いた7500円引きクーポンの利用+13,000円分のストアクレジットバックでの購入です。

このレビューは箱開け後のバージョン ビルド番号TD2A.230203.028、ストレージ128GBモデルで行っています。

おおまかなカタログスペック・仕様についてはGoogle ストアの技術仕様ページでご確認ください。

付属品は充電スピーカーホルダー(以下スピーカードック)、充電アダプター、取説等。充電アダプターは丸ピンでUSBではありません。ドックはあまり動かすものでもないでしょうが、断線・破損には気をつける必要がありそうです。

付属品

1.6KのLCDディスプレイ

古の時代、GoogleはNexusやPixel C(日本未発売)なるAndroid タブレットを販売していたことがあります。Pixel Cは当時最高峰の2560x1800ピクセルのOLED(有機EL)を搭載していましたが、Pixel Tabletは2560x1600ピクセルのLCD(液晶)となります。

ディスプレイ

リングライトと一緒に「妖怪」がかなりはっきり映り込んでしまっている。

Pixel CやNexusは反射がかなりキツかった記憶があったことから手元に届く前から疑念はあったのですが、Pixel Tabletの反射もきついです。かなりはっきりリングライトが映り込んでいるのが目立ちますが、ディスプレイをオフにすると画面に「妖怪」が映り込んできます。液晶特有の青白さはあまり強くなく、発色はきれいだと思います。標準輝度が500nitということで真夏の直射日光下などの極限の環境でなければピーク輝度も十分でしょう。

ディスプレイの映り込み

実際にリングライトを向けて使うようなことはないだろうが、照明の映り込みが気になる設置環境ではノングレアのフィルムを貼ったほうがよいだろう。

スタイラスはUSI2.0に対応ですが、現在はGoogle純正のスタイラスが販売されていませんので、Amazon Fire 11 Max用スタイラスでちょっと試用してみたところ問題なく描画できます。消しゴムボタンも(対応するアプリでは)問題なく機能。

ちなみに、Amazonでとりあえず一番安かった謎中華ブランドのガラスフィルム2枚セットを買いましたがレビュー後に貼り付けて触ってる感じとくに問題なさそう。あとで反射防止のフィルム買うかもしれないけど。

指紋が残りづらく、上質感のある筐体

最近のPixel スマートフォンは背面がガラスになってしまい指紋が気になりがちなんですが、Pixel Tabletはアルミニウムフレームに「ナノセラミックコーティング」なるものが施されているという。

ちなみに、今回は本体色としてPorcelain(ポーセリアン)を選びました。薄い赤みのある黄色と言えばいいだろうか。指紋が残りづらく、優しい色合いで正直すごく好きです。

背面

手に取るときちんと「いいものだな」感あり。実機が触れる場所が増えて欲しい。

背面にはスピーカードックと接続する4ピンのアクセサリコネクタがあり、これは充電、データ転送、音声出力に対応していると技術仕様に記載されている。スピーカードックで使う分には充電と音声出力だけあればいいはずなので何か別のアクセサリの計画もあるのかもしれないが、配置的にキーボードやスタイラスとの接続には使うものではないだろう。

指紋認証のレスポンスは高速

電源ボタンにビルトインの指紋認証は静電容量方式で、当然だが画面内光学のPixel スマートフォンよりレスポンスはよい。Pixel 7以降で対応している顔認証は非対応となっている。

ボリュームボタンと電源ボタン兼指紋センサー

カメラの構成は貧弱

イン/アウトのカメラセンサーの構成は共通のようで双方とも8Mピクセル、1/4インチサイズのイメージセンサーとなる。インカメはノッチやパンチホールではなくベゼルに配置される。そのせいという訳でもないだろうがベゼルはプレミアムな価格帯の製品の中ではやや太めの印象を受ける。

アウトカメラも今どきのスマートフォンではめったに見かけない単眼。このへんは明確にコストカットを感じさせるが、まあ実際タブレットにカメラ性能なんていらないんじゃないだろうか。でっぱりがほとんどないのも好印象。

アウトカメラ

スピーカードックとは別にクアッドスピーカー搭載

技術仕様によると4基のスピーカーを内蔵するとのことだが、とくにドルビーなどの立体音響規格への対応は謳っていない。これはPixel スマートフォンの方でも同様の状況。Pixel Buds Proの空間オーディオ機能にも非対応のようだ。

superpoweredのAudio Latency Test Appでスピーカーの出力遅延を計測すると本体スピーカーのレイテンシは70msでした。見るスクショ間違えてて本体スピーカーが67ms、ドック経由が70msでした。ごめんなさい!

Audio Latency Test

スピーカードックにはマグネットで吸い付いてドッキングするが、ホルダーに固定するときの吸いつき感、トンッという軽い音がなかなか気持ちいい。マグネットでのタブレットへのアクセサリー類の接続は色んな製品が既に実現していることだが、マグネットが強力すぎて金属やプラの筐体、スプリングピンがぶつかり合う「バチン!」という耳に刺さる嫌な音を発生したりするものも多い。Pixel Tabletのスピーカードックはそういう嫌な感じがかなり低減されていると感じる。小学生のころだったらきっとフィジェットトイのように何度もドッキングを繰り返して遊んでいただろう。

スピーカードック

ドックの設置部分はやわらかいゴム繊維のようだ。

スピーカードック背面

背面の「G」のロゴ以外は自己主張のほとんどないデザイン。

それから、ドックに接続した状態でキーボードやマウスを利用してPCのようなスタイルでタブレットを使用するのにも快適だ。古のPixel Cを始め、タブレットPCはスタンド付きのキーボードカバーを接続してラップトップ状スタイルでの利用を想定するものが多いが、こういったスタイルはラップトップより小さな画面と相まって高さが稼げず視聴距離、角度に色々厳しさがある。キックスタンドやキーボードとの接続部がハードウェア的な故障の原因になったりもする。その点、最初から定位置が決まっているスピーカードックとのドッキングという方式は好きなキーボードを選びやすいし、故障も少ないはずだ。

Tensor G2は「必要十分」の高性能

Google Pixel Tabletが採用している「Tensor G2」はGoogleのオリジナルシリコンの2世代目だ。Pixel 7や7 Pro、7aにも使用されている。AI、ML(機械学習)を司るTPU、セキュリティプロセッサのTitan M2はGoogleが設計を手掛けたものだが、CPUはサムスンの協業でExynosをベースにカスタムしたもの、GPUはARMの提供するMali-G710をそのまま採用している。

Geekbench 5.5.1および5.4.4の原神偽装版でシングルのスコアがそれぞれ981、1027とマルチのスコアが1989、2025となった。マルチスレッドのスコアがあきらかに異常に低いのでちょっと参考にならないかもしれない。NOTEBOOKCHECKのComparison of smartphone and tablet processor performanceを参照するとTensor G2のGeekbench 5.4中央値はシングル1049、マルチ3243.5でこれはSnapdragon 865や870(865+のリネーム)を上回るシングルスレッド性能、近傍するマルチスレッド性能となる。

JavaScriptやWebviewなど令和になってもシングルスレッドでしか動かないタスクは実際山ほどあるので基本的にはシングルスレッド性能のスコアを重視することをお勧めする。

(追記)再起動して完全に最新のアップデートを適用し、ビルド番号 TQ3A.230605.009.A1に更新後あらためてGeekbench 5.5.1を走らせたところ、シングル1026、マルチ3147となりました。こちらがより正確なものと思います。その他のベンチ類で有意な差が出ていないので箱出しのビルドではマルチスレッド性能のみ何かしらの問題が発生していたようです。(追記ここまで)

Geekbench 5.5.1

こちらが5.5.1。

Geekbench 5.4.4 (原神偽装版)

こちらが原神偽装版5.4.4。

Geekbench 5.5.1

(追記)最新のソフトウェアを適用した環境での5.5.1

3DMARK WILD LIFE STRESS TESTではスコア6594、温度上昇は30℃→31℃ 、22~48FPSという結果になりました。

安定度は97.1%とかなり安定しており、温度上昇も全くと言ってよいほどなく素晴らしいです。フォームファクタがタブレットなので余裕があります。

Wild life stress test1

Wild life stress test2

流石に当然で言うまでもないことだが、WidevineはL1でAmazon Prime VideoなどでHD画質でのストリーミングが利用出来る。

DRM info

*上記のベンチマークは箱出しのセットアップ作業後、室温26度、窓を開放して換気した自室、Accu Batteryでバッテリー温度をモニタリングして32℃以下まで下がっていることを確認し、スピーカードックに接続した状態で行いました。ケースカバーの類は着けていません。

まとめ

強制バンドルによって存在自体が最も物議を醸すであろうスピーカードックは、コンテンツ消費だけでなくキーボードやマウスと合わせてPCスタイルで利用したい場合にも便利。タブレットPCでありがちなポートの欠乏をドックからの給電で若干は緩和することも出来、個人的にはこういうプロダクトの方向性もありなのかなと思いました。ドッキングステーション別で買えばいいだろと言われるとその通りだと思いますけど。

型落ちハイエンド(Snapdragon 888に若干劣後する程度)に相当するTensor G2のCPU、GPU性能は、原神などの一般的に重いとされているモバイルゲームを安定的に60fps近傍でプレイすることが出来る水準に達しています。フォームファクタがタブレットであることから熱ダレもしづらく、ディスプレイのリフレッシュレートも60Hzに留まるため「必要十分」と思います。

問題となるのは国内価格であり、やはり定価が79,800円というのは割高に思ってしまう方が多いと思います。Pixel 7aが現在のドル円レートを考えると割安な、戦略的価格になっているということもありなおさらです。税抜きは72,546円となり、現在のドル円レートでは510ドルほどなので実際はそこまでめちゃくちゃな値付けでもないのですが…。

セルラーモデルがないためキャリアショップでの販売が期待できないことも問題です。日本国内ではスマートフォン・モバイルOSタブレットの販路としてキャリアショップ代理店の割合が極めて大きいので、販売拡大のためには今後セルラーモデルも出していかざるをえないのではないでしょうか。

これが7aと同価格の62,700円からで、さらにショップの割引やポイントバックなどがあるのだったら人にガンガンお勧めできるし、実際売れただろうなあ…というのが正直な感想です。

参考/関連リンク

Google Pixel Tablet - Google ストア