本来ならばきちんとバックアップを取得しておくことでいざというときに慌てないようにしたいものですが、必ずしもそうであるとは限りません。むしろ、バックアップなんて全く取っていなくていざとなると慌てて周囲のパソコンに詳しい人に泣きついたり、復旧業者に高額な報酬を払ってしまう方、非常に多いです。
イーザスソフトウェア様よりレビューを依頼するお問い合わせをいただきましたので、今回はデータ復旧ソフト「EaseUS Data Recovery Wizard Pro」のレビュー記事を書かせていただきました。
- マイクロソフトの純正復旧ソフトや自動バックアップ機能も要確認
- 無償版「EaseUS Data Recovery Wizard Free」も
- 「EaseUS Data Recovery Wizard Pro」をトライアル
- まとめ
マイクロソフトの純正復旧ソフトや自動バックアップ機能も要確認
データ復旧ソフトは制限付きだが無償で使えるもの、有償だが無制限で利用できるものなど、複数のベンダーからいくつもリリースされている。あまり大々的にPRしていないがWindowsの胴元であるマイクロソフトからもリリースされていて「Windows File Recovery」(winfr)といい、Microsoft Storeから手軽に導入出来る。
ただ、この「Windows File Recovery」はコマンドライン ツールであり、GUIで…つまり直感的にわかりやすいボタンやアイコンのインターフェースで操作出来るものではない。
スキャンするドライブと復元するファイルを保存するドライブを別にする必要があったり、動作をきちんと把握してコマンドを利用しないと不要なファイルまで大量に復元されてしまったり、パワーユーザー向けツールとしての傾向が強い。
急ぎでトラブルを解決したい、難しいことはハードルが高いという人にはやはりGUIで操作出来るサードパーティ製の入門者向け復旧ソフトを勧めざるをえない。
Wordなどのオフィススイートは公式の自動保存バックアップ機能も存在する。そちらを確認するのも大切だ。普段意識していなくてもOnedriveのごみ箱に消してしまったファイルが残っているようなこともある。Onedriveのごみ箱はWebで確認することができる。
▼参考
MS Wordの自動保存場所はどこ? - jp.easeus.com
DOC VS DOCX|DOCとDOCXファイルの相違点まとめ|DOC/DOCXの修復/復元方法 - jp.easeus.com
無償版「EaseUS Data Recovery Wizard Free」も
今回レビューする「EaseUS Data Recovery Wizard」は最大2GBまで無料で利用することが出来るFree版も存在する。「1度に2GB」ではなく「合計で2GB」だ。2GBを超過するとスキャンは出来るが復元が出来なくなる。
初期状態では復元可能なファイルが500MBまでに制限されている。右上の共有メニューからTwitterかFacebookにシェアするとさらに1.5GBが開放され、合わせて最大2GBとなるようだ。特定のファイルだけを誤ってごみ箱上から削除してしまったり、何らかの方法でごみ箱を経由せずファイルを削除してしまった場合は500MBでも事足りる場合が多いだろう。逆に、ファイルシステムが破損してドライブのデータにまるごとアクセス出来なくなったときなどは2GBでは全然足らないことになる。
「EaseUS Data Recovery Wizard Pro」をトライアル
今回はレビュー用にProライセンスを貸与していただいたので「EaseUS Data Recovery Wizard Pro」を試用する。
都合よく障害が発生しているようなドライブは転がっていなかったので、余っているHDDを使用してテストを行う。元々は古いノートパソコンに内蔵されていたもので、2,5インチで5400prm、容量1TB(実容量931GB)のものだ。うち、400GB以上を使用している。その中から約1000のファイル、合計約6.58GBを削除してごみ箱を空にした。このドライブから復元を試みる。
実際のところ、完全削除をきちんと行っていない誤って削除されたばかりのファイルは、ファイル管理データベース上から消されただけでデータ実体はドライブに記録されたままになっていることがほとんどだ。そのため、復元もたやすい。今回のテストでは復元の手順、現実性に重きを置いてこのやり方を取った。
ファイルを復元したいドライブにマウスポインタを重ねると現れる「スキャン」をクリック。クイックスキャン→ディープスキャンと自動で進行していく。
ごみ箱から削除したファイルはクイックスキャンの時点であっという間に検出され、ディープスキャンでそれ以外の失われたファイルが検出された。検出したファイルはスキャンが完全に終了する前でも復元に取りかかることが出来る。
今回の検証用に用意した1TBのHDDでは、スキャン完了から検出したファイルの整理が完了するまでに約3時間と20分で終了した。Proライセンスを試用しているので何も考えずまるっと6.58GBを復元したが、復元には約7分かかった。
これはおそらくだが、ディープスキャンはマスターファイルテーブルやファイルレコードセグメントのようなデータベース上の情報を当たるのではなく生のデータをスキャンしているのだと思う。今回は1TBしか容量がないHDDを使用しているが、今どきはもっと大容量のHDDも多い。その場合、復旧が数日がかりのタフな作業になる可能性もある。
もちろんファイルはきちんと復元出来ており、ピクチャやオーディオ、ドキュメント、psdなどのファイルにも破損は見られなかった。Free版では復元したファイルが2GBを超過した時点でProライセンスの購入を促されることになる。
まとめ
アイコンベースのすっきりしたGUIで、基本的にクリックしていくだけで復元が完了するのはマイクロソフト純正のコマンドライン ツールより圧倒的に「やさしい」。入門者向け復旧ソフトとして十分な機能とわかりやすさが提供されていると思う。
Pro版の定価は一ヶ月ライセンスが税込9,790円(1台分、以下同じ)。1年ライセンスが税込13,090円。永久ライセンスが税込19,690円。大量のファイル復元が必要になる機会は個人ユーザーには早々ないだろうことから、有料ライセンスが必要になった場合も割り切って1ヶ月ライセンスを利用することを個人的にはお勧めする。