私事ではあるが、家族でNTTドコモの新料金プラン「irumo」への変更手続きを行ってきた。老齢の父がリタイアしてついに年金生活に入ったため、通話オプションなどの料金プランの見直しを行ったためだ。
我が家では既に廃止されたシェアパックとdocomo withを併用していた。docomo withは対象機種の購入と同時に契約すれば、機種変更の手続きを行わない限り毎月1500円が割り引かれるという料金プランだった。データ通信をほかの回線とシェアパックでまとめることで、子回線は最安で310円ほどで維持できるという点が魅力だった。
ところがこのdocomo withは回線と端末の抱き合わせでの販売となっている点が総務省に怒られ、早々に展開が終了してしまった。その後、ドコモはギガライトなどの新しい料金プランを展開していたが、これは実質値上げにしかなっていなかったのでドコモショップで機種変更手続きは行わないことでずっとdocomo with + シェアパック契約を維持してきたのだ。
他社のサブブランドや格安SIM(MVNO)も検討したが両親はもう20年近くNTTドコモを使用しており、ドコモメールのヘビーユーザーである。現在ではメールアドレス自体の他社キャリアへの持ち出しは出来るようになったのだが、ドコモメールアプリをそのまま使用することはできず、Gmailなどの他社メーラーに自分で設定を行い送受信を行う必要がある。
設定自体は僕がやればいいのだが、できれば今までと同じものが使いたい、という両親の言葉もあるし外部のメーラーは受信メールと紛らわしいかたちで広告が挿入されるなどの問題もあるため今回はirumoへのプラン変更に決めることとした。
両親へのヒアリングだけではそれぞれの契約状況が把握しきれなかった部分もあり、手続きはドコモショップの代理店で行った。既に支払いはdカードに設定してあり、OCN for ドコモ光を利用していることもあって手続き自体はすぐに終わった。必要になったものもそれぞれの電話番号とネットワーク暗証番号のみだった。(この点は契約状況によって大きく変わるはずだ)プラン変更の事務手続き手数料が一人あたり3,850円もかかってしまったので、少なくとも自分のぶんはオンラインでやればよかったと思ったが後の祭りである。
それぞれの利用端末はSIMフリーのPixel 6a、Pixel 5a (5G)、ドコモ版初代AQUOS sense(SH-01K)だったがいずれもAPNの設定やSIMの差し替えなどはなく移行が完了した。プラン変更後一時的に圏外になったが機内モードへの切り替えだけで復帰することができた。一般的なSIMフリー機種やドコモ販売の端末であれば問題が発生する可能性は少ないだろう。
irumoのメリット・デメリット
メリット
- ギガホ、ギガライト、eximoに比べて月額は安い
- 有償になるがドコモショップ実店舗でのサポートは受けられる
- ワンナンバーサービス(Apple Watch)対応
- 法人名義で契約できる
デメリット
- いわゆる格安SIM(MVNO)や旧OCNモバイルより高い
- 従量通話料金も高い(22円 / 30秒)
- dカードやドコモ光の割引が適用されないと一気に高額となる
- メールアドレスが別料金(月額330円)
- データ容量の追加が1GB刻みで相当に高額(驚愕の1GBあたり1100円)
- 翌月への繰り越しなどのユーザー利便性を考えた施策も存在しない
- 還元率の目減り、1,100円未満の足切り、総じてdポイント還元率の大幅な低下
- 請求書払いが不可
- ドコモオンラインショップに非対応、機種変更を行うとeximoに強制変更される
- ドコモメールオプションを同時に申し込まないと現在利用中のメールアドレスが失効する
プラン移行の申込みと同時にドコモメールオプションを申し込まないと現在利用しているメールアドレスとクラウド上の受信メールは削除され、復元もできなくなる。
🔗 irumoへプラン変更手続きを行う際のご注意事項 | 料金・割引 | NTTドコモ
- ドコモ電話帳クラウドが使用できず、ローカルにデータを保存している端末を処分してしまうと電話帳喪失の可能性がある
irumoへ移行するとドコモ電話帳クラウドのデータは削除される。通常、ローカルのデバイス上にドコモ電話帳アプリのデータは保管されているがそのままではGoogle アカウントのバックアップ機能で連絡帳データをバックアップすることが出来ない。連絡帳アプリからデータをエクスポートしてGoogle 純正の連絡帳アプリなどにインポートし移行する必要がある。もし、データのバックアップを取得せずに端末を喪失した場合連絡帳データを消失する可能性がある。
- 未成年者名義では契約できない
- 0.5GBコースで5G通信が利用できない
最安の0.5GBコースでは送受信が最大3Mbpsに制限されてしまい4Gネットワークの利用となる。0.5GBコースを契約するかたが5Gの高速通信の恩恵を預かることはないだろうがわざわざ塞いでくるメリットが不明瞭。一方で契約種別はあくまで5Gになるため5Gユーザーのカウントをなんとかして水増ししたいという思惑を感じさせる。
- 他の料金プランより優先して通信速度の制御が行われる
よくよく大量の※を読み解いていくと、データ容量が残っているか否かにかかわらず、ドコモの他の料金プランよりも先に通信速度の制限を実施して通信速度が遅くなる場合があると注記されている。
他社のサブブランドではメインブランドより安くても通信速度の面で差別的な扱いはしていない。irumoのことをドコモはあくまで料金プランのひとつとしてアナウンスしているが、あくまで料金プランのひとつだと言うなら少容量に特化したプラン、契約データ容量が定められてるものから優先的にトラフィックの制御を行うというのはなおさら詐欺的ではないだろうか?
どういう人にirumoがお勧め?
家ではWi-Fiを使い屋外ではそれほどモバイルデータを利用しないため、なるべく安価な料金プランを求めている方。その上で、どうしてもドコモメール、つまり、ドコモメールのアドレスと「ドコモメールアプリ」を使い続けたい方には勧められるのではないでしょうか。
irumoの「唯一性」は実質的には他社のサブブランドに近い低用量・低価格プランでありながら「ドコモメールアプリ」を使い続けられるという一点のみしか存在しないと思います。
正直な本音
ここ最近のドコモは首都圏などの混雑エリアで通信品質が低下していることもあるし(2023夏までに解消するとアナウンスがあったが個人的な体感では全く改善していない)、キャリアとしての通信品質の保証もない実質MVNO的なプランでありながら他社のサブブランドよりはっきり安いということもなく、irumoからは他社への流出は防ぎたいから低容量・低価格プランは用意したけど…という消極性が見え隠れしているように思う。ahamoにしろirumoにしろサブブランドではなく料金プランだと言うのならば回線品質などのサービスの同等性担保やオンライン手続きフローの共通化は必要なことではないだろうか。
我が家では老親の学習コストを重く見て当面irumo契約でドコモメールアプリを維持するつもりだが、身の振り方の自由度を考えれば若人はそもそもドコモメールなんてものは使わずにGmailやiCloudメールを利用したほうがいいのだ。
色々割り切ってしまうならもはやドコモなんて使わずにさっさと他のMVNOや他社のサブブランドへの移行を検討するべきだ。そもそも当初、両親には60歳以上で通話かけ放題の永年割引キャンペーンを行っているワイモバイルへの移行を勧めていた。それほどスマホにヘビーに依存しておらずいつでも手元に置いていない両親は通話の着信を一発で受けられないことが多く、後から自分でかけ直すことがとても多い。5分定額オプションでは若干心許ない部分があるので今後も通話料金のモニタリングをしていく必要がありそうだ。
いずれにしろ、irumoは注意点が非常に多く安易に契約すると厄介なトラブルが発生しかねない。もしプラン変更を考えているならばじゅうぶんに注意が必要だ。