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ASUS ROG Ally (2023) インプレッション・レビュー。コンパクトな筐体にパワフルなチップ、(比較的)メンテもしやすい現行最強ハンドヘルド型PC

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ASUS ROG Ally (2023)

ASUSのROG Allyを買いました。日本国内での発売は今年2023の6月14日、発売から2ヵ月経って既にベンチスコアやエクスペリエンスについては様々な場所でレビューされているモデルなので軽くレビューしていく。

なお、今回購入したのは「Ryzen Z1 Extreme」SoC搭載の上位モデル(RC71L-Z1E512 - 価格は10万9,800円)で「Ryzen Z1」搭載の下位モデル(RC71L-Z1512 - 価格は8万9,800円)の予約開始日と発売日は2023年夏予定でまだ明らかになっていない。

なお、掲載している写真は既にミヤビックスの低反射タイプの保護フィルム Over Lay Plus Liteを貼り付け済みの本体となる。実際の本体はバリバリの光沢仕様ディスプレイなのでご注意ください。

ハードウェア

speccy スクリーンショット

ハードウェアの詳細としてはZen 4アーキテクチャの8コア16スレッドのCPU、RDNA 3アーキテクチャのiGPUを搭載するAMDのSoCを使用している。CPUのクロックレートなども若干の違いはあるが下位モデルとの大きな違いはiGPUの性能となる。

速攻ハードウェアトラブルに遭遇したSSDはマイクロン製だった。装着しなおしてからまだそれほど時間が経っていないが今のところトラブルは再発せずCrystal Disk InfoやSpeccyなどでチェックしてもおかしな数値は吐いていない。

メモリは16GBのLPDDR5-6400(基盤組み込み)で増設することは不可能。初期状態では4GBがVRAMに割り当てられていて実際にDRAMとして使用可能なのは12GBに留まる。Adobeなどのプロダクティビティアプリの実行にはギリギリな数字だ。ARMORY CRATE SEでVRAMへの割り当てを最大8GBに増やすこともできるが、LPDDRの帯域の細さではVRAMをこれ以上盛ることにあまり意味はないように思う。(一部のゲームアプリは多少快適になるかもしれないが)

インターフェースはeGPUドックであるROG XG Mobileに接続する専用インターフェース×1、USB 3.2 gen 2 Type-C(データ転送、映像出力、本体への給電対応)×1、microSD カードスロット(UHS-II)×1、3.5mmコンボジャック×1。

USB ポートが1つしかないハンドヘルド型UMPCということで大半の人はWi-FiやBluetoothを用いることになるだろうが、Wi-Fi / BluetoothのコンボアダプターはMediaTek Filogic 330 (MT7922)となる。ASUSの公称している仕様としてはWi-FiがWi-Fi 6E / Bluetooth コア仕様がBT5.1となっているがMediatekはWi-Fi 6E / BT 5.2のサポートを公称するアダプター。

デバイスマネージャからLMP バージョンを見ると12.8964。実際にサポートしているコア仕様は5.3と考えてよい。

Bluetooth 仕様

同梱物は本体、65W USB-PDに対応するACアダプタ、スタートアップガイドなどの他、ROGロゴの刻印されたプラスチック素材のスタンドが付属する。

同梱物

ディスプレイは色域非公開、輝度が500cd/平方m。屋内での使用には十二分に明るく、色域非公開ではあるが十分綺麗だ。キャリブレータなどで厳密に計測したわけではないがたぶんsRGBで90~100%くらいは出ていると思う。

モニタとの比較

どちらも輝度を最大にして標準輝度250cd/平方mのモニタを並べてみたが、まあ同じような明るさだ。多少劣化しても現実的には問題にならないだろう。

パフォーマンス

各種ベンチマークは既に色々な場所で取り上げられているので割愛。搭載チップセットはRyzen 7000シリーズの中で唯一CPUとGPUの両方が最新の世代に刷新されているもので、プロセスノードも最新の4nmとなる。

競合のIntel 13世代Coreは11世代CoreからiGPUのアーキテクチャを刷新しておらずROG Ally採用のRDNA3には見劣りする。前世代のRDNA2とどっこい程度の認識でよい。

もしもROG Allyの馬力で不満が出る場合はそもそもこの手のモバイルPC、ラップトップの性能では満足できないということになるので、dGPU搭載のゲーミングノートやデスクトップPCを購入する必要がある。

インプレッション

速攻でトラブルを引いてしまったが開腹しやすいバックパネル、開くとSSDやバッテリ、スティックと言った消耗部品のメンテナンスがしやすい構造になっているのはよく分かったのでその辺はむしろ評価が高い。

背面

駄目だったらさっさと返品するつもりだったので中身の写真とか撮ってなかったのだが、メンテナンスはしやすい製品だと思った。

既にMicroSDカードスロットが熱で死ぬ問題が報告されている通り、初物ということでまだまだ完璧な設計ではないだろうが、それでもきちんと練りこんで来たのは分かる。

BIOS(UEFI)もゲームパッドで操作することが出来、ソフトウェアキーボードの入力以外はおおむねストレスなく操作することが出来た。ポートは少ないが入力装置はむしろ充実している。

中身は完全なWindows OSでありそれが良いという人もいればそこがダメだとなる人もいるだろう。外付けのディスプレイとUSB ハブ(ドッキングステーション)はあったほうが絶対快適だ。間違ってもコンシューマーゲーム機というかNintendo Switch Liteのような感覚で買ってよい製品ではないことは理解する必要がある。

ドッキングステーション

本体上部ポートからケーブルを引き回すことになるので、配線の引き回し方次第ではテンションがかかって断線が問題となるかもしれない。ドッキングステーション本体とUSBケーブルが一体になっているものは断線で全部駄目になるので注意が必要。画像は自分が使用しているロジテック LGB-DHUPD

それから、換装不可能なメモリが16GB(VRAM割り当て後12GB)ということで、ユースケースによってはメモリが足らなくなるシーンがあるかもしれない。そういう意味ではきちんとタスクマネージャーやリソースモニターを見て自分の使い方でどの程度メモリを消費するのか把握している玄人志向なハードとなる。

最近は表向きのメモリ使用率を見て足らない足らないと言っている人を見かけることが増えたが、メモリは増えれば増えるほど表面上使用率の数字が増えるものだ。ブラウザなどが単純にキャッシュとして保持しているだけで必要になれば解放するため、実質的なパフォーマンスへの悪影響がほとんどないケースも多い。

メモリの実装サイズが実際にボトルネックとなっているかはタスクマネージャーのコミット済みの数値、リソースモニターのハードフォールトの数値などを分析して調べる必要があり、初心者にはやや敷居が高い。個人的にはブラウジングやカジュアルなゲーム、ちょっとした画像編集程度のライトユースならこの10年くらいメモリ16GBで大きな不足を感じたことはなく、まだまだメインを張れる実装容量だと判断している。

卓上でサイズを取らないミニPCとして考えると付属のスタンドはちょっとスペースを取りすぎかもしれない。配置次第で邪魔になってくると思う。適当なタブレットスタンドなどで浮かせて使うことも出来るだろうから問題にはならないだろうが。

ROG スタンド

あとちょっと気になったのは高周波ノイズ(コイル鳴き)だろうか。事前にうるさいよ、とは聞いていたので驚きはなかったが確かに鳴っている。僕は30台前半のオバサーで今のところ明確に聴覚の衰えを意識したことはないが、もっと若くて高周波の音に敏感な人だともっと気になる可能性がある。