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LEAudio対応のCreative Zen Air Pro買いました。ANC・外音取り込み・ワイヤレス充電…「ほぼ全部入り」の魅力

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Creative Zen Air Pro

Amazonの初売りでCreativeの「Zen Air Pro」という完全ワイヤレスイヤホンを購入した。直販価格が9,780円(税込)のもので、今回は20%引きのクーポン適用で7,824円(税込み)。

この20%引きクーポンは2024/01/07までが有効期限とのこと。兄弟機種であるZen Air Plusにも同様の20%引きクーポンが付与されているのを確認しました。

元々Creative直販限定として販売が開始されたものだが、12月23日からAmazonでも取り扱いが開始していたようだ。Creativeの製品はだいたいいつもまずは直販限定で販売開始され、その後しれっと他の販路でも販売開始される。

期待高まる次世代ワイヤレスオーディオであるLEAudioに出荷時から対応

お決まりのハイブリッドANC・アンビエント(外音取り込み)モード対応のほか、Qi互換ワイヤレス充電、LEAudioではLC3+によるハイレゾ相当(96kHz/24bit)の高音質コーデックとULL=超低遅延モード(別売・未発売のトランスミッターが必要)、LEAudio対応と「ほぼ全部入り」仕様の完全ワイヤレスイヤホンです。

「Auracast ブロードキャスト オーディオ」への対応もアピールしていますが、これはスマートフォンやパソコン、テレビなどから複数人に音声を送信でき、ひとつのデバイスから音楽を聴くような使い方を実現するもの。今のところ親機側が全く市場に流通していないので、忘れてしまったほうがよい。

Bluetooth SIGとしては商業施設などのエンタープライズから導入を目論んでいるようで、コンシューマーで利用出来るようになるにはまだまだ年単位で時間がかかると思われます。

ケースとイヤホン

ステムはオーバル形で一番太い部分で5mmほど。太すぎて社外品の装着が困難ということもなく、FinalのTYPE-E 完全ワイヤレス専用仕様のLLサイズを装着した状態で問題なくケースに収まりました。

標準のイヤーピースも厚みのあるもっちりとしたシリコンでこのくらいの価格帯では良いほうだと思います。

イヤホン本体

Finalの完全ワイヤレスイヤホン向けイヤーピース装着時

初聴での印象はちょっと音像が遠いかな、と思いました。そのぶん音の広がりはきちんと表現出来ていてこのくらいの価格帯で多い低音が大きくボワついたような印象もない、クリアな音声だと思います。フラット寄りのドンシャリ、みたいな印象。

ちなみにLEAudioにおける新標準コーデックのLC3はSBCの後継規格で、とくに低ビットレート時の音質でSBCを大きく上回りますが現在最も普及しているであろうAACコーデックと比べて大きく音が良いということはありません。あくまで低レイテンシ・低ジッタ・低消費電力が利点となります。

とはいえ、低レイテンシ・低ジッタであると言ってもいわゆる音ゲーなどの繊細なリアルタイム性を求める用途ではやはりULL(LC3+)ではないLC3では厳しいものがあります。今のところ積極的にLC3を使用するメリットは実のところあまりありません。

Zen Air Plusとは挙動が異なり、LEAudio接続時も同一デバイス名

ちょっとお安い兄弟機種であるZen Air Plusでは製品ページに、

* LE Audio対応のスマートフォンとZen Air PlusをBluetooth LE Audioで接続するには、デバイス名 "Zen Air Plus-LEA" で表示されるZen Air Plusと接続します。すべてのBluetooth LE Audio対応デバイスでの動作を保証するものではありません。

との表記がありますが、Zen Air ProではとくにLEAudio接続用でデバイス名を分離したりはしていないよう。製品ページでも同様の記述が見受けられず。

LEAudioで接続した時には音声ガイダンスが"LEAudio Connected"とアナウンスしてくれます。

設定画面 LEAudio無効
設定画面 LEAudio有効
コンパニオンアプリからLEAudio優先モードへと切り替える機能などはなく、母機側がどの接続を優先して求めるかで挙動が変わります。トランスミッター非使用でAndroidやWindowsに接続した場合、クラシックオーディオに優先して接続するものと思われます。

2台マルチポイント対応、空間オーディオにも対応

メーカーの製品情報ページやマニュアルなどに記載されていませんが2台マルチポイントに対応しているのを確認。後から接続を要求した機器が強制的に接続をオーバーライドする機能には非対応のよう。マルチポイント接続時もどちらかが音声を流しているときに片方で音声を流し始めても自動切換えなどは行いません。既にオーディオを再生しているデバイス側で再生を停止する必要があります。

こちらもとくに製品ページなどで触れられていませんがAndroidの標準APIを用いた空間オーディオに対応しており、Dolby AtmosやDolby Audioなどの音源、一部のVODなどで空間オーディオが利用出来るようになっていました。ヘッドトラッキングには非対応。Android 14からは空間オーディオの利用にオーディオ システムのタイプでヘッドホンを指定する必要もあったはず。

なお、空間オーディオの実装にはバーチャライザーのライセンス費用がかかるため、対応するかどうかは親機側次第となります。確認はGoogle Pixel Tablet(Android 14アップデートで発売後に空間オーディオに対応)で行いました。

ノイズキャンセリングはけっこう優秀。-43db公称の他社製品と同じくらい?

ハイブリッドANCに対応している製品ですが、ノイズキャンセリングの設定を最大にした状態で試してみると-43db公称のEarfun Air Pro 3に見劣りしない程度には低音を消してくれました。

アンビエントサウンド(外音取り込み)は生の音を機械で通してブーストしている感が強く、あまり自然ではありません。この辺はお値段相応かと思います。

最近のSoC統合のアクティブノイズキャンセリングはかなり優秀です。もちろん、2万円オーバーのフラッグシップなどと比較すると見劣りはしますが。

ここはダメ

ネガティブなポイントとして、音声ガイダンスの音量がかなり大きめです。コンパニオンアプリで音量を調整したりすることも出来ません。モバイルOSとの接続時は問題がなさそうですが、Windows PCやChromeOSとの接続時の最低音量もちょっと大きすぎるのではないかと思います。

コンパニオンアプリで編集可能な項目も少なく、誤タップ防止のためなのでしょうが個人的にはシングルタップに機能が割り振れないのがあまり好きではありません。

ANCとアンビエントモードの切り替えもタッチコントロールではANCオフ→アンビエントモード→ANCオンの3段階を順番に切り替えていくしかありません。発話検出でのモード切替などは搭載されていませんので、コンパニオンアプリが咄嗟に使えない環境で切り替えを頻繁にしようと思うとストレスが溜まりそうです。

Creativeアプリのカスタム コントロール

Windows PCとの接続時にはWindows側が本機を検出出来ない問題も発生しました。Bluetoothとデバイスの設定で[Bluetooth デバイスの検出]を標準設定の[既定]から[詳細]に切り替えることで検出することが可能となりました。

Windows 11の設定

Pixel Tablet(LEAudio)との接続時にも最初は右耳側のイヤホンがLEAudio接続時に全く接続出来なくなる(ケースに戻しペアリングボタン10秒長押しのリセットから再ペアリングして解決)、見通しのよい近距離でも音声が大きく乱れるなどの問題が発生しています。とはいえ、この辺はAndroid側のLEAudio対応がまだベータ段階で品質に問題を抱えているのもあります。

クラシックオーディオ接続時のみのCreativeアプリとの接続も不安定になる場合があり、このあたりの品質は中華オーディオメーカーと比較しても勝ってるとは言い難いところ。

まだまだLEAudioはベータ段階でファームウェアが不安定。今のところは新しいもの好きな人向け

今のところLEAudioは主要なクライアントOSでの対応も完全ではなく、まだまだベータ段階です。接続出来ても不安定な場合もあり、正直に言えば新し物好きな人向けのオモチャ感は拭えない状態です。

この製品の「売り」は次世代の規格であるLE Audioで定義されるほとんどの機能が体験できることです。とくにULLはハイレゾ相当の高音質コーデックであるLC3+と低遅延を両立させる進歩の大きなテクノロジで利用出来るのであれば大きな利点となりえます。

Creativeは今後LC3+およびULLにも対応するCreative LE Audio トランスミッターの発売を予告しており、この製品も別売のトランスミッターと組み合わせて真価を発揮します。僕もトランスミッターと組み合わせて使うつもりで購入したので早めに発売して欲しいところ。

とはいえ、クラシックオーディオで使用するだけでも十二分に強力なアクティブノイズキャンセリングとマルチポイントや空間オーディオ対応などコストパフォーマンスは良好な機種なのも確か。とくにQualcommのSnapdragon Sound対応母機を使っていない場合などは有力な製品だと思われます。