米国時間で4日、Android 12のAOSP(Android Open Source Project)がリリースされました。同時にGoogle Pixel スマートフォンにAndroid 12が公開されるのが通例となっていましたが、今のところ公開されていません。今後、数週間以内に公開されるとのこと。
その他のメーカーのAndroid スマートフォンでAndroid 12が利用できるのは早くて数週間、通常だと数カ月後になるはずです。アップデートが提供されるかは端末のメーカー、あるいは販売を行っている携帯電話会社にご確認ください。
Android 12はベータ版の配布が5月からスタート。Pixel スマートフォンやシャープ製スマートフォンなどでベータバージョンを利用することが出来ました。最終ベータバージョンのBeta 5が米国時間で9月8日に配信され、正式配信が秒読みとなっていました。
10月23日追記:
実際にPixel 5a (5G)をAndroid 12へアップデートしました。
Pixel 5a (5G)をAndroid 12へアップデート - 遭遇した不具合、変更点
追記ここまで
Android史上最大のUI刷新「Material You」
最大の変化は、従来のデザイン言語 「Material Design」からさらに進んだ「Material You」になること。表現力豊かでダイナミック、パーソナライズされたデザインが適用されるようになります。
GoogleのPixel スマートフォンでは、Android 12以降、カスタムカラーパレットと新しいウィジェットを使用してパーソナライズされたデザインを利用することが出来ます。
カラー・エクストラクション(色抽出)という機能を使用して壁紙を選択すると、システムがどの色が優勢でどの色が補完的か、どの色で見栄えが良いか自動的に判断。通知シェードやロック画面、ボリュームコントロール、新しいウィジェットなどのシステムUI全体で抽出された色が適用されます。
タップ、スワイプ、スクロールといった操作がより滑らかなアニメーションになり、たとえば、ロック画面で通知を閉じるとすぐに時計が大きく表示されるようになりました。
通知に関してはAt a Glanceのアップデートで再生中の音楽などがより見やすくなります。クイック設定メニューにはGoogle HomeやGoogle Payのアイコンも追加できるようになります。
オーバースクロール時の効果が「グロー」から「ストレッチ」に切り替わります。コンテンツの端までスクロールした時わかりやすくなります。
音声フォーカスも改善されます。アプリのフォーカスが失われるとそのアプリの音量が自動的に小さくなります。スマートフォンよりは、タブレットやフォルダブル、複数スクリーン利用時での改善になるでしょうか。
プライバシーへの配慮の強化
Android 12では、データにアクセスしているアプリの透明性を高める新機能と、アプリがアクセスできる個人情報を制御するためのアップデートが行われます。
新しいプライバシーダッシュボード
アクセス権限の設定だけでなく、アプリが使用したデータや頻度を表示できます。ダッシュボードから直接アプリの権限を簡単に取り消すこともできます。
カメラとマイクへのアクセスの無効化
サポートされているデバイスで、クイック設定あるいはシステム設定のプライバシー項目から切り替えることで、デバイス上のすべてのアプリに対してカメラとマイクへのアクセスの有効・無効を切り替えることが出来ます。
また、アプリがカメラまたはマイクを使用しているときにステータスバーにアイコンを表示します。
クリップボードへのアクセスの警告表示
アプリがクリップボードからデータを読み取るとトーストがユーザーに警告を表示するようになります。
アプリがアクセスできる個人情報のより細かなコントロール
たとえば位置情報について、正確性の高い位置情報ではなくおおよその位置をアプリに提供する選択ができるようになります。天気予報のようなおおよその位置情報で十分に機能するアプリでの使用が想定されています。
Android Private Compute Coreの導入
Private Compute Coreによって、すべての音声と言語の処理がネットワークから分離されたオンデバイスで行われます。Private Compute Coreによる保護はオープンソースで、セキュリティコミュニティによって完全に検査および検証することができます。
パフォーマンスの向上
コアシステムのサービスを実行するのに必要なCPU時間が22%削減され、デバイスがより高速に動作し、機敏に反応するようになります。
またシステム サーバーによる高性能コア(Primeあるいはbigコア)の使用が15%削減され電力効率がよくなり、電池がより長持ちになります。
パフォーマンス クラスの導入 - Android 12から、Android スマートフォンのパフォーマンスレンジを特定する共通基準が導入されます。
「パフォーマンス クラス」と呼ばれるこの基準は、Androidの基本的なシステム要件よりもより高い性能を定義します。デベロッパは実行時にパフォーマンス クラスを確認することで、容易にデバイスのパフォーマンスを活かしたアプリを提供することが出来るようになります。
当面はメディアのユースケースに特化するとのことで、一般のユーザーが想像するアプリゲームの快適性が向上するのはまだ先の話。
(混乱しそうな)動作の変更
ピクチャー イン ピクチャー(PIP)の変更
PIPウィンドウをシングルタップでコントロールが表示されるようになりました。以前はシングルタップでPIPウィンドウが開き、コントロールが表示されていました。
PIPウィンドウをダブルタップすると現在のPIPサイズと最大PIPサイズを切り替えられるようになりました。以前はダブルタップでPIPモードから全画面モードに切り替わっていました。
ウィンドウを退避するには、ウィンドウを左端または右端にドラッグします。ウィンドウの退避を解除するには、退避中のウィンドウの表示されている部分をタップするか、ドラッグして引き出します。
ピンチ操作によるズームで PIPウィンドウのサイズを変更できるようになりました。
ジェスチャーナビゲーション利用時の没入モードの改善
ナビゲーションバーが非表示のときもジェスチャーを使用できるようになります。Android 11ではシステムの「戻る」ナビゲーションを呼び出すのに2回スワイプが必要でしたが、1 回のスワイプで足りるようになりました。
3ボタンモードの動作はこれまでと変わりません。
参考・関連リンク
Android Developers Blog: Android 12 is live in AOSP!
Android Developers Japan Blog: 5月 2021